GPAの学業要件見直しを議論 修学支援新制度の検討会議

GPAの学業要件見直しを議論 修学支援新制度の検討会議
GPAなどの修学支援新制度の学業要件を話し合った検討会議=オンラインで取材
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 大学などの修学支援新制度の在り方を協議している文部科学省の検討会議はこのほど、第2回会合を開き、学業要件の見直しについて議論した。修学支援新制度を利用した学生からのアンケート結果が示され、7割以上の学生が現在の学業要件について適切だと答えていたが、この日の議論では、成績評価の指標である「GPA(Grade Point Average)」がその学部で下位4分の1に入ると「警告」を受け、2年連続すると「廃止」となる、GPAに関する学業要件について意見が集中した。

 修学支援新制度について、多子世帯の無償化や中間層への支援拡充を盛り込んだ政府の「こども未来戦略」では、対象学生数が拡大することに伴い、修学支援新制度の学業要件についても必要な見直しをすることとしている。これを受けて検討会議では、修学支援新制度の現状の学業要件について、継続すべきかどうかを議論している。

 この日の会合では、2023年度に修学支援新制度の奨学金支給を修了する学生に日本学生支援機構が行ったアンケートの結果が示された。回答した1万6107人に、修学支援新制度をいつ頃知りたかったかを尋ねると、「中学校段階で知りたかった」は19%、「高校段階で知りたかった」は74%と、多くの人が高校までに知りたいと感じていた。実際に修学支援新制度を知って利用したきっかけを複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「高校生の時に学校の先生から話を聞いて知った」で8183人だった。

 修学支援新制度に学業要件が課せられていることについては、「学業要件の内容を含めて知っていた」は63%、「学業要件があることは知っていたが、内容までは正確に知らなかった」は32%、「学業要件の存在すら知らなかった」は5%だった。多くの学生が学業要件は必要だと考えており、現状の単位数や出席率、GPAの学業要件の基準についても、7割以上が「適切な水準だと思う」と答えていた。

 この日の議論では、GPAを用いた学業要件について意見が集中した。

 両角亜希子委員(東京大学大学院教育学研究科教授)は「(GPAは)相対的な評価で、修学の意思もあって、授業も出席して単位も取って、努力しているのに(奨学金が)打ち切られてしまうということが起きないようにするのが一番の議論になるのではないか」と指摘。室橋祐貴委員(日本若者協議会代表理事)は「そもそも(GPAの下位)4分の1という基準自体が非常に高過ぎたのではないか。もっと緩めてもいいのではないか」と提案した。

 一方で仁科弘重委員(愛媛大学学長)が「最終的に(学生が大学などを)やめてしまうと、この制度の趣旨からすれば元も子もないが、『警告』までのハードルは高くてもいいのではないか。なるべくやめさせない方向で、特例で(奨学金の)『廃止』まで行かないようにするのが一つの方法だと思う」と述べるなど、現在の基準はおおむね妥当だとする意見もあった。

 検討会議は6月をめどに議論を取りまとめる方針。

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