こども施策の東京都との格差是正を 首都圏3県の知事

こども施策の東京都との格差是正を 首都圏3県の知事
盛山文科相(右から2人目)に要望書を渡す熊谷千葉県知事(右端)と大野埼玉県知事(右から3番目)、黒岩神奈川県知事(左端)
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 こども・子育て支援策を巡り、税収に恵まれている東京都と他の自治体との地域間格差が拡大しているとして、埼玉、千葉、神奈川県の3県の知事が5月7日、文部科学省を訪れ、盛山正仁文科相に対し、居住する地域にとらわれないこども施策の実現などを求める要望書を渡した。

 文科省を訪れたのは、埼玉県の大野元裕知事と千葉県の熊谷俊人知事、神奈川県の黒岩祐治知事の3人。

 要望書では、税収に恵まれている東京都では、▽18歳までのこどもに対する月5000円の給付▽高校授業料実質無償化における所得制限撤廃▽公立学校給食費の無償化――など、独自のこども・子育て支援策を次々と打ち出し、周辺自治体との地域間格差が拡大していると指摘。全てのこどもが等しく幸福な生活を送ることができる社会を実現するためには、こうした格差を解消することが必要不可欠だと強調している。

 また、こうした地域間格差は、自由に使える財源が潤沢にある東京都と他の自治体との財政状況の違いから生じていると指摘し、こども基本法で「政府はこども施策の充実及び財政上の措置等に努めること」と明記されていることを踏まえて、自治体の財政状況による格差が生じないよう、国の責任と財源により必要な措置を講じることを求めている。

 3人の知事はこの後、総務省で松本剛明総務相と面会し、行政サービスの地域間格差が過度に生じないよう、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を早急に構築するよう要望した。

学校施設の防災機能強化へ補助単価引き上げを

 一方、首都圏の九都県市首脳会議は同日、盛山文科相に学校施設の防災機能強化に関する補助単価の引き上げなどを要望した。

 要望書によると、世界的な原材料価格高騰や急速な円安の進行などで、公共施設の整備費は高騰しており、実勢価格が国の補助単価を大きく上回る事態が生じている。特にバリアフリー化の推進に伴う学校のエレベーター設置や屋内運動場への空調設備の設置などで、支障を来す事例も生じていると説明している。

 国は「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策(2021~25年度)」で学校の防災機能強化に取り組んでいるが、要望書では、国の学校施設環境改善交付金の補助単価が物価高騰を十分に反映していないため、自治体の負担が急激に増大する懸念もあるとしている。

 このため九都県市首脳会議は、補助単価が実勢に合ったものとなるよう引き上げを求めるとともに、必要な予算額を確保するよう訴えている。また、屋内運動場に空調を新設する場合の算定割合を2分の1としている期間を延長することも求めた。

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