マーケティングリサーチをカードゲームで学ぶ 公立中で特別授業

マーケティングリサーチをカードゲームで学ぶ 公立中で特別授業
班で協力しながらカードゲームでマーケティングリサーチに挑戦した生徒たち=撮影:松井聡美
【協賛企画】
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 リサーチ手法をカードゲームで学ぼう━━。東京都町田市立南成瀬中学校(杉浦元一校長、生徒457人)でこのほど、インテージが開発したマーケティングリサーチを体感できるカードゲームを使った特別授業が行われた。ゲーム上でアイスクリームのマーケターとしてデータを収集し、分析した生徒たちは「一つのデータだけではなく、いくつかのデータを分析するといいことが分かった」などと感想を話した。

 この日は中学2年生がカードゲーム「情報戦を制するのはきみだ―めざせ売り上げNo.1-」に挑戦。参加者一人一人がアイスクリームのマーケターとしてデータを収集・分析しながら、5つの国に適切な数のアイスクリームを配置していくというもの。インテージの小林春佳さんは「ものやサービスを売るための仕組みをつくる、情報を集めて考えるのがマーケティングリサーチ」と説明し、「自分が知りたかったことは何か、何を調べれば分かるのかを考えながら、カードゲームをやってみてほしい」と呼び掛けた。

 生徒たちは4~6人の班に分かれて、それぞれが「会社」となり、「チョコミントアイス」や「あずきもなかアイス」など5つの商品を持ち、気候や住民の平均年齢などが異なる5つの国に投入していく。今回は特別ミッションとして、5つの国・5つのアイスの販売数の合計が多いグループが勝ちとなる。各国にはあらかじめ商品ごとの市場規模が設定されているので、そのニーズを超えて投入しても「売れ残り」となり、得点にはならない。

 プレーヤーには5枚の市場データカードが渡され、生徒たちは「この国は年齢層が若いというデータがあるから、このアイスが売れそう」などと、商品を売るのに必要なデータを見極めながら、商品を投入していく。データが足りない時は他の生徒が持つデータカードを見て「リサーチ」することもでき、「このデータを見た方がいいんじゃない?」などとチーム内で助け合いながらゲームを進めていった。

 最後に各チームで合計販売数を数えていき、クラスごとの優勝チームを発表した。自分の分析と数値にずれがあったという生徒は「データを読んで考えるのが、こんなに難しいとは。なんとなくのイメージではいけないことが分かった」と振り返った。また、分析通りだったという生徒は「パーセントが書いてあるデータカードをいくつか見ていくことで、適切な販売数を分析しやすかった」と話した。

 小林さんは「例えば、友達や家族にプレゼントする時に、どんなものが好きそうか仮説を立てて考えていくように、みんなは普段の生活においてもマーケティングリサーチをしている」と話し、リサーチする時には▽「知りたいこと(仮説)」を持つこと▽「知りたいこと(仮説)」に合わせて「聞き方」を工夫すること▽「知りたいこと(仮説)」をいくつかのデータから分析すること━━の3つを意識するようにアドバイスを送った。

 杉浦校長は「いろいろな情報を集めて分析し、決定していく力は、社会に出たときにも重要だ。カードゲームを通して、それをつかんだ生徒も多かったのではないか」と話した。

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