生徒の体調管理が容易に 都教委の部活動支援アプリで成果

生徒の体調管理が容易に 都教委の部活動支援アプリで成果
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 東京都教育委員会が2022年度に高校の部活動支援策として導入した、生徒が自身の健康状態を把握でき、けがの防止やトレーニングの効率化に効果が期待できるコンディションアプリの運用が、3年目に入った。生徒からは「今まで自分の身体に興味はなかったが、アプリを使うことで関心を持つことができるようになった」といった声が上がっているという。

 都教委は22年度、それまでのスポーツ特別強化校の後継的な位置付けとして、都立高校や中等教育学校の運動部39校56部(31競技)を「スポーツ・サイエンス・プロモーション・クラブ(Sport-Science Promotion Club)」に指定し、科学的トレーニングを積極的に導入し、合理的な活動を推進している。この事業の一環として、プロ競技チームや一部の大学や高校の運動部で導入が進んでいるコンディションアプリを活用。指定された56部の生徒たちが利用できるようにしている。

 このアプリには、①コンディションを管理できる②指導者とコミュニケーションが取りやすい③データ分析のサポートが受けられる――といった特徴がある。

東京都教育委員会が採用しているコンディションアプリの画面=東京都教委提供
東京都教育委員会が採用しているコンディションアプリの画面=東京都教委提供

 ①のコンディション管理では、生徒が体重や心拍数を日々アプリに入力すると、その変化をグラフで確認でき、自身では気付かない疲労、身体の不調が目で見て分かる。こうした疲労や不調がある場合、無理なトレーニングはけがにつながりやすく、練習メニューを考慮することでけがの防止が期待できる。また、トレーニングの成果を記録して筋力アップの状態も確認できるという。

 ②の指導者とのコミュニケーションでは、生徒が入力した数値、状況を共有でき、部活動顧問ら指導者からは「効率的な練習メニュー作りに役立っている」という声があり、指導に関わる教員の負担軽減にもつながっているという。③のデータ分析のサポートでは、アプリが蓄積したデータを分析し、評価するサポート機能がある。

 都教委の担当者は「心拍数や体重の数値をノートに記録してコンディションの管理をするなど、スポーツに科学的視点を取り入れる手法はさまざまな競技で以前から取り入れられていた。しかし、高校生にとっては、毎日、ノートに記録することが負担といったハードルが高い面もあった。扱いに慣れているスマートフォンなら、アプリを使って毎日入力することも簡単に続けられ、記録を蓄積することによりコンディションの可視化が容易になった」と、アプリ活用の成果を説明。今後の展開については「成果を踏まえて検討する」としている。

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