中教審の「質の高い教師の確保特別部会」が取りまとめた「審議のまとめ」を巡り、5月21日に開かれた参院文科委員会で質疑が交わされた。この中で、議員が32歳の教員の時間外在校等時間が月80時間に達すると、現行の教職調整額では時給150円にしかならないなどと指摘。改めて時間外在校等時間の縮減が必要だと追及したのに対し、文部科学省側は将来的には平均月20時間程度の縮減を目指し、それ以降も見直しを継続する方向性を説明して、「それに向けてさまざまな施策を講じていきたい」と答弁した。
同日の参院文科委では「審議のまとめ」に関する質疑が相次いだ。このうち古賀千景議員(立憲)は、時間外在校等時間と教職調整額に関して、32歳で月給約30万円の教員で試算すると、現行の支給額は1万2000円程度であり、過労死ラインとされる月80時間では時給150円でしかなく、今後教職調整額が3万円(給与の10%換算)に引き上げられても45時間で時給666円、将来的な目標とする月20時間でも1500円だと具体的に指摘した。その上で「お金のことを言いたくないが、あまりに安過ぎると思う。時間外在校等時間の将来的な目標は20時間ではなく、ゼロにすべきではないのか」とただした。
これに対して、同省の矢野和彦初等中等教育局長は「審議のまとめでは、将来的には教師の平均の時間外在校等時間を月20時間程度に縮減することを目指し、それ以降も不断の見直しを継続すべきであると提言している。われわれとしては、それに向かってさまざまな施策を講じたいと考えている」と答え、理解を求めた。
また、「審議のまとめ」を踏まえた今後の取り組みについて、盛山正仁文科相は「学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇改善、学校の指導運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めるため、今後、具体的な施策の実現に向けて取り組みたい」などと述べ、教師を取り巻く環境整備を総合的に進める方針を示した。