得意な分野の才能を伸ばす特別プログラムを実施 東京都教委

得意な分野の才能を伸ばす特別プログラムを実施 東京都教委
得意な分野の才能を伸ばす特別プログラムについて報告があった都教委の第8回定例会=撮影:松井聡美
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 東京都教育委員会は5月23日、第8回定例会を開き、「得意な分野の才能を伸ばす特別プログラム」について報告した。同プログラムは理数・芸術分野に興味関心の高い生徒を対象に、著名人による講演や大学教授による指導など、高度な教育プログラムを実施しており、今年度で3年目となる。委員らは取り組みを評価するとともに、「チャレンジスクールなども含め、さらに多くの生徒に周知をしていってほしい」と要望した。

 「得意な分野の才能を伸ばす特別プログラム」は、都立高校の1、2年生および中等教育学校の後期課程に在籍する4、5年生の計40人を対象とし、生徒は2年間プログラムに参加する。プログラムは理数分野と芸術分野に分かれ、それぞれ著名人による講演や研究機関などを見学する全員を対象とした講座と、自分の興味関心に基づいて選択する講座がある。

 例えば理数分野では昨年度、東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授による「渋滞のサイエンスと社会実践」をテーマとした講演会や、水素関連技術や宇宙科学技術開発の研究機関の見学などが行われた。また、選択講座は東京農工大学の吉田智弘准教授による「昆虫を用いた都市緑化の生物多様性の調査研究」など、6大学11講座から好きな講座を選んで受講した。

 参加した生徒からは「得意な分野を伸ばすためには、他の分野を学んだり、さまざまな経験をしたりすることが大切だと考えるようになった」「課題を発見することは、研究の第一歩であると思うようになった」「学校では絶対できないような経験ができた」「芸術を生かしたさまざまな職業があることが分かり、将来に向け、さらに芸術の分野を極めたい」といった感想が上がっているという。

 今年度は、理数分野は7月中旬から9月下旬まで、芸術分野は10月下旬から来年1月下旬まで実施予定で、それぞれ最後には研究発表会も予定されている。都教委の担当者は「今年度で3年目となることから、プログラム修了生徒の卒業後の進路に向けた支援や、卒業後の状況把握も行っていく。このプログラムを受けた生徒がどのように変容していくのかを、しっかり見ていきたい」と話した。

 委員からは「入試などの制度により、苦手を克服することに意識がいきがちだが、社会に出ると得意を伸ばしていくことの方が重要になる。こうした取り組みが、生徒を送り出す学校の教員にも良い影響を与えるのではないか」と期待する声が寄せられた。また、別の委員は「例えばチャレンジスクールなどにも、素晴らしい才能がある生徒がいる。非常に良い取り組みなので、より多くの学校に向けて広く周知をしていって欲しい」と要望した。

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