神奈川県内の大学で構成される神奈川県大学入試広報連絡会は5月27日、2025年度入試から県内13大学の学校推薦型選抜入試で推薦書の書式を統一することを発表した。連絡会は「高校教員の働き方改革を意識した取り組み」と説明しており、高校側の負担軽減を図る狙いがある。また、その効果を波及させるため、推薦書のフォーマットを全国の大学に広げたいとの意向もあるという。
神奈川県大学入試広報連絡会は30大学が加盟しており、25年度入試で統一化した推薦書を採用するのは、桜美林大、神奈川大、神奈川工科大、鎌倉女子大、関東学院大、産業能率大、湘南工科大、田園調布学園大、桐蔭横浜大、東京工芸大、東洋英和女学院大、横浜商科大、横浜薬科大の13大学。連絡会によると、他にも採用を検討している加盟大学があり、26年度入試以降はさらに増える見込み。推薦書の統一化は全国で初めてとみられ、連絡会では、統一フォーマットで作成した推薦書を「全国大学推薦書標準様式」と名付けた。「県外にもこの書式を使いたいという大学が増えることを望んでいる。より多くの大学で採用されれば、高校側の負担軽減につながる」と、さらなる広がりに期待を寄せる。
統一推薦書はA4判1枚で、志望学部、学科、推薦理由を記入する欄がある。また、紙に手書きするスタイルをやめて、パソコンを使ったデータでの提出に一本化した。連絡会によると、大学の担当者が高校を訪問する中で、「大学ごとに推薦書の書式が違い、作業が複雑で担任教諭の負担になっている」などの声を聞き、連絡会で関東・甲信越地区の高校98校へのアンケートやヒアリングを実施したところ、書式の統一化を求める声が多数だったという。
神奈川県教育委員会高校教育課は「推薦書の書式統一は学校現場からも好意的に受け止められている。高校の教員にとっては推薦書に関わる業務時間が短縮され、働き方改革につながる。また、書式統一で生徒一人一人の評価がより詳しく、分かりやすく書けるといった効果も期待できる」と歓迎している。
参加校の一つ、東京工芸大は神奈川県厚木市の工学部のほか、東京都中野区に芸術学部のキャンパスを持ち、大学として、両学部で統一推薦書を採用することを発表。統一推薦書の右下にあしらわれたロゴマークは、東京工芸大の学生の作品が採用された。帆を掲げた黒船を正面から見た形をデザインし、海と関わりの深い神奈川県を象徴するとともに、連絡会は「船出を表すロゴマークで、統一推薦書のスタイルを神奈川から全国に広げたいという思いも込められている」と意気込みを示している。