いじめ防止対策に力を入れる東京都品川区はこのほど、こども家庭庁による「首長部局によるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・検証」の団体として、都内の自治体で初めて採択されたと発表した。区長部局に開設されている相談窓口の相談員が研修を受けるなどして、相談対応の質を向上。教育委員会や学校と連携し、いじめの予防・早期発見・早期対応につなげるモデルを構築する。
品川区では、学校で発生したいじめの重大事態について、対応や区長への報告の遅れがあったことを踏まえ、GIGAスクール端末を活用した心の健康診断の導入など、新たないじめ防止対策に乗り出している。1月からは首長部局でもいじめの相談窓口を開設し、3人の相談員が電話やメール、LINEなどでいじめの相談を受け付け、早期の対応につなげる体制をスタートさせている。
こども家庭庁の「首長部局によるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・検証」の団体に採択されたことにより、区教委が連携している子どもの発達科学研究所の専門相談員養成講座を相談員が受講するなどして、いじめ相談対策を強化したり、学校との連携をしやすくしたりする。
森澤恭子区長は区役所で開かれた記者会見で、「教育委員会・学校と連携して、早期発見・早期解決にちゃんとつながっていくことが非常に重要だ。モデル事業なのでしっかりと事業成果を検証して、首長部局による効果的ないじめ解消の仕組みづくりを目指していきたい。子どもたちを取り巻く環境は多様化、複雑化しており、いじめと一口に言っても、その周りにはいろいろな要因があると思う。そういった福祉などのところも含めて、さまざま連携をして取り組んでいくことが必要だと思っている」と展望を語った。