中教審の生涯学習分科会に設置されている社会教育人材部会はこのほど、第9回会合を開き、社会教育主事講習、社会教育主事養成課程の修了者に付与される称号「社会教育士」をはじめとする、社会教育人材の活躍促進に向けた最終まとめ案を大筋で了承した。最終まとめ案では、「社会教育士」などの社会教育人材が、教育行政のみならず、首長部局や企業、NPOなどにも求められており、地域づくりのハブとしての役割を担っていると強調。大学などでの講習を受けやすくすることや、社会教育人材のネットワークづくりを進めていく方向性を示した。今後の課題として、社会教育に関心のある高校生などの若年層を増やす方策の検討も必要だとした。
2022年8月に生涯学習分科会が出した第11期の議論の整理では、地域コミュニティーの基盤強化に向けて、社会教育人材の量的な拡大と質的向上を進める必要があるとしており、これを受け今期(第12期)の生涯学習分科会では社会教育人材部会が設置され、昨年5月から社会教育人材の養成や活躍機会の拡充に向けた議論を重ねてきた。
最終まとめ案では、少子高齢化への対応に積極的に取り組む自治体では、地域の核となる学校教育と社会教育が連携した地域のつながりづくりや次世代の育成が進められ、社会教育の担い手が従来の社会教育施設や社会教育関係団体、NPOなどにとどまらず、首長部局や民間企業にも広がっているとし、そうしたニーズに応える社会教育人材の確保・養成が必要だと強調。大学などで実施されている社会教育主事講習の定員拡大やオンラインなどを活用した多様な受講形態の促進、関連する民間資格での一部科目代替などを提言した。
その上で、社会教育人材は、これまでの社会教育施設における活動や、コミュニティ・スクール(学校運営協議会)と地域学校協働活動の一体的な取り組みで中心的な役割を担う存在というだけでなく、環境や福祉、防災、農山漁村振興、まちづくりなど幅広い分野で社会教育の知見を生かすような活躍が期待されるとし、社会教育人材の具体的な活躍イメージを提示するなどして、多様な人材が社会教育に参画し、ネットワークを構築していく方向性を打ち出した。
また、今後の課題として、社会教育に関心のある若年層を増やす方策も含めた継続的な検討が必要だと指摘した。