早いうちから卒業後のキャリア観を生徒に持ってもらおうと、神奈川県立向の岡工業高校(及川博伸校長、生徒498人)で6月3日、企業や大学、専門学校などが一堂に介して生徒に仕事や学びの体験をしてもらうイベント「向工Fes」が開かれた。1~3年生の生徒が興味のある企業や学校のブースに行き、仕事のやりがいや学びの面白さを知ったり、実際に仕事で使っている道具を使ってみたりした。
同高では、生徒の進路が多様化する中で、今年度の1年生からカリキュラムを変更し、「総合的な探究の時間」の中でキャリア教育に力を入れる。「向工Fes」はその一環で初めて実施され、2、3年生も含めた全学年で終日にわたって興味のある企業や学校のブースを見て回った。高校生の就職を支援している株式会社ジンジブが連携し、約60社の企業と約30校の大学、専門学校、大学校などが参加した。
仕事や学びの内容を説明するだけでなく、実際に使用している道具を持参し、生徒に体験してもらうワークショップを展開しているブースも多くみられた。オフィスなどの電気・計装工事を行う有限会社常伸エンジニアリングは、工事現場を再現したセットを持ち込み、社員の説明を聞きながら、生徒がコンセントの取り付けなどに挑戦。菊水勝治代表取締役社長は「言葉だけだと仕事の面白さが伝えきれないので、どうせなら実際に体験してもらおうと、セットを作ってきた」と気合いが入っていた。
参加した1年生の生徒は「進路は大学に進学したいくらいしか考えていなかったが、企業の話も面白そうで、大学卒業後も見据えて仕事を考える機会になった」と振り返っていた。
「向工Fes」を企画した同高の清田孝行総括教諭は「本校では就職をする生徒が多いが、保護者からは進学させたいという声も増えており、キャリアを探究するカリキュラムに変えていくことにした。生徒たちはとても熱心に話を聞いていた。ぜひ今後もやっていきたい」と手応えを感じていた。