月経痛や月経前症候群など月経(生理)に伴う不調について、中高生の85%が「受験日と生理日が重なることに不安を感じたことがある」という調査結果がこのほど公表された。2023年12月、文部科学省が全国の都道府県教育委員会に「公立高校入試は生理による不調で追試験が可能」と通知しているが、通知を「知っている」と答えたのは中高生とも2割前後。自分なりの対処法で臨んでいる実態も浮かび上がってきた。
この調査は、エムティーアイが運営する健康情報サービス「ルナルナ」による「受験と生理についての意識調査2024」。「ルナルナ」などのサービス利用者に対して今年4月に実施され、中高生や保護者ら女性1938人から有効回答を得た。
受験経験のある中高生246人への質問では、「受験日と生理日が重なることに対して、不安を感じたことがある」との回答が85.4%あり、「ない」は14.6%だった。不安の内容(複数回答可)は、「生理痛などの体調不良」が81.9%で最多。ほかに、「経血漏れなど」66.2%▽「試験で自分の実力を出し切れるか不安」59.8%▽「生理に伴う精神的な不安」49.5%▽「トイレの回数が増えること」38.2%――などの回答が続いた。具体的な身体の不安のほか、精神的な不安を抱えていることも明らかになった。
また、対策としては、「夜用など長時間生理用ナプキンを用意」62.2%▽「カイロなどを使った防寒対策」56.0%▽「生理用品を多めに用意」49.8%▽「市販の鎮痛剤を準備」35.9%▽「温かい服、色の濃い服など服装の調整」16.7%――などが多かった。「ピル処方による生理日の調整」5.3%▽「婦人科を受診して相談」3.3%――など医療機関を活用した対策は1割未満とかなり少なく、さらに「対策を検討しなかった」との回答も9.1%あり、「我慢するしかないと思った」、「どのようにしたら良いか分からなかった」との理由が挙がっていた。
一方、生理による体調不良を追試験の対象とした文科省通知について、「知っている」と回答したのは、中学生15.2%、高校生23.1%、保護者17.9%と、それぞれ2割程度しかいなかったが、こうした対応については「知らなかった」とした回答者を含めて、中学生78.6%、高校生86.6%、保護者75.9%が「必要だと思った」と回答している。
「必要だと思った」という回答者は、その理由として、「生理が重く、コントロールが難しい」中高生91.2%、保護者93.0%▽「生理の影響を受けず実力を発揮できる」中高生63.9%、保護者62.4%▽「体調を整えて試験を受けられるのが公平」中高生55.8%、保護者54.3%▽「通知によって生理に対する理解が深まる」中高生34.6%、保護者44.1%――などが挙がった。
一方、「必要だと思わなかった」という回答者は、「ほかの体調不良は考慮されないこともあり、不公平」中高生56.3%、保護者58.3%▽「利用条件があり、実際に活用するのは難しい」中高生43.8%、保護者25.0%▽「生理日はある程度管理でき、事前に対策をとるべきだ」中高生12.5%、保護者33.3%▽「都道府県ごとに対応が異なり、不公平」中高生18.8%、保護者12.5%――などの理由を挙げた。
また、試験会場などでの生理に配慮した対応として、別室での受験を求める声のほか、「試験会場の学校にナプキンを常設してほしい」「トイレに行きやすいよう配慮してほしい」「生理で寒かったとき、膝掛け持ち込みを認めてほしい」などの意見が挙がった。
エムティーアイ広報部は「調査結果でも、中高生の多くが自分なりの対処をしているが、婦人科を受診するという回答は少ない。薬を飲むほどの痛みがあれば、自己判断だけでなく、専門の医師の診察を受けることも必要。まだまだ、恥ずかしいとか、人目が気になるといった傾向があるが、社会全体で生理への理解が広がることを望んでいる」と指摘している。