教員の処遇改善、国で財政措置を 指定都市市長会が緊急要請

教員の処遇改善、国で財政措置を 指定都市市長会が緊急要請
緊急要請を安江大臣政務官に手渡す仙台市の郡市長(右)=撮影:藤井孝良
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 教職調整額の引き上げをはじめとする公立学校の教員の処遇改善を巡り、政令市で構成される「指定都市市長会」は6月5日、中教審の質の高い教師の確保特別部会が取りまとめた「審議のまとめ」で盛り込まれた処遇改善策に必要な費用について、国による財政措置を求める緊急要請を文部科学省に提出した。処遇改善の費用増加分が自治体の負担となれば、他の住民サービスにも影響を与えると危機感を表した。

 緊急要請では、「審議のまとめ」が示した教職調整額の少なくとも10%以上への引き上げや職務の負担に応じた手当の見直し、給料表への新たな級の創設について「これらの方策を実行するための安定的な財源の確保策が、現状示されていない」と指摘。仮に処遇改善策による費用の増加分が自治体の負担とされた場合、自治体の財政を圧迫することとなり、教育だけでなく住民サービスの水準低下も招くと懸念を示した。

 その上で、国と自治体が足並みをそろえて質の高い教師の確保に向けた環境整備を推進できるよう、教職員定数の改善や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの支援スタッフの配置拡充につながる施策を早急に実施するとともに、それらに必要な予算を確保すること、教員の処遇改善に必要な費用については、国の責任で確実に財政措置をすることを求めた。

 安江伸夫文部科学大臣政務官に緊急要請を手渡した指定都市市長会こども部会長の郡和子仙台市長は、「審議のまとめ」が打ち出した処遇改善策について「歓迎する」としながらも、「必要な財源をしっかり国で措置しなければ、持ち出しで各自治体が教職調整額の上乗せ分などを負担しなければならなくなる。そうすると、仙台市では年間で21億円あまりになる。これを捻出していくためには、他のさまざまな行政サービスも(見直しを)考えていかなければならなくなる。そういうことはやはり、あってはならない」とくぎを刺した。

 

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