文部科学省は6月5日、障害のある受験生への合理的配慮の考え方などを充実させた、2025年度の大学入試の実施要項を通知した。推薦要件や合否判定の材料の一つとして、受験生の高校の出欠状況を活用する場合に、病気や事故、月経随伴症状など、やむを得ない理由による欠席については、受験生に不利益が生じないようにすることを明記した。
実施要項は国公私立大学、高校関係団体の代表者らで構成される「大学入学者選抜協議会」で合意されたもので、大学入試の実施内容の明確化や充実の観点から、受験生が記載する資料の内容や活用について「総合的な探究の時間」で取り組んだ課題や資格・検定など、具体的な例を示した。
加えて、調査書を活用する際の留意事項として、これまでも受験生の健康状況は入試の判断材料としないことを原則としてきたが、高校の出欠状況を推薦要件や合否判定の材料の一つとして活用する場合には、受験生本人の申し出や調査書で病気や事故、新型コロナウイルスの後遺症、月経随伴症状などのやむを得ない欠席日数があることを把握したら、受験生がそれによる不利益を被らないように配慮することを明確にした。
障害のある受験生の合理的配慮についても留意事項が見直され、合理的配慮による代替措置を行う場合は、評価方法を明確化するのが望ましいとし、合理的配慮を行っていることを理由に、試験結果を減点したり、特定の科目が免除されているにもかかわらず、そのことを考慮せずに一律に合計点を比較したりするといった、合理的配慮を受けた受験生に対して不利な扱いをしてはならないことなどが追記された。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、今年1月に実施された大学入学共通テストまでは、追試験の日程を本試験の2週間後としていたが、新型コロナウイルスの5類移行に伴い、来年1月に実施される次回の共通テストから、追試験は従来の本試験から1週間後に戻し、25年1月25~26日に実施する方針とした。