学びの基礎診断で学習状況アンケート 規程改訂案を検討

学びの基礎診断で学習状況アンケート 規程改訂案を検討
測定ツールの認定に向けて規程の見直しを議論した「高校生のための学びの基礎診断」に関する有識者会議=オンラインで取材
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 高校段階の基礎学力の定着状況を、認定された民間の試験などを用いて測定する「高校生のための学びの基礎診断」について、文部科学省の有識者会議は6月6日、オンラインで会合を開き、次の測定ツールの認定に向けた規定の見直しを話し合った。新たに生徒の学習状況などを把握できるアンケートを実施することを努力義務に加えるなどの規程の改訂案が示され、生活習慣まで聞くことに疑問が呈された。

 2018年に制度化された高校生のための学びの基礎診断は、3年ごとに測定ツールの認定を行っており、次の認定の時期を迎えたことから、認定基準や手続きに関する規程の見直しを行うことになった。

 この日の会合で示された規程の改訂案では、英語の4技能の「話す」について、24年度まで利活用されている測定ツールでは、測定に代えて問題や解答例、採点基準を提供することにしても差し支えないとする規程を、高校現場で測定環境が十分に整備されていないことや、測定の技術開発にも時間がかかっていることを踏まえ、27年度まで延長することとした。

 また、新たに生徒の学習や指導に生かすため、生徒の学習状況や学習に対する姿勢、生活習慣などを把握できるアンケートを実施することを努力義務とした。

 この規程について、寺尾尚大委員(大学入試センター研究開発部准教授)は「生活習慣というのが何を指すのか。結構プライバシーに踏み込んで食習慣や睡眠習慣まで答えさせると、それはどうかという気がする。高校教育に生かすことを考えれば、生活というよりは学習習慣として狭めてはどうか」と提案した。

 これに対し内田隆志委員(東京都立三田高校長)は「実際に担任などが学習に関して指導する際に生活習慣、特に朝ごはんを食べてきたか、夜にどれくらい睡眠を取ったか、あるいはどれくらいスマホをいじっているかといったことは、学習に非常に影響が出る項目でもある。社会的に課題になっている不登校とも密接に関係する。本来であれば学習について聞くテストではあるが、そういったデータも非常に有効になる可能性があるので、削るのはもったいない気もしている」と指摘。どのように見直すべきかを荒瀬克己座長(教職員支援機構理事長)と事務局で検討することになった。

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