日本中学校体育連盟(中体連)が2027年度の全国中学校体育大会(全中)から水泳などの9競技を削減する方針を打ち出したことについて、盛山正仁文科相は6月11日の閣議後会見で「競技団体の中ではまだ意見があるものと承知している。引き続き関係者の声に耳を傾けながら、丁寧に対応することが重要」との認識を示した。その上で同10日に中体連に対し、競技団体などと議論を継続するよう働き掛けたことを明かした。
全中は夏季16競技、冬季4競技で開催されているが、このうち水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スケート、アイスホッケーの実施を27年度の大会以降、取りやめる。開催地との契約の関係で、スキーは29年度まで実施する。少子化による生徒数の減少や夏季大会の猛暑対策、大会運営での教員の負担軽減などを踏まえた対応で、中学校の部活動設置率が20%を下回る競技が原則として削減の対象となった。
スポーツ庁などが昨年12月に公表した「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」では、こうした全国大会の運営体制の見直しや適正な回数への精選に言及している。今回の中体連の方針について盛山文科相は「国のガイドラインや全国中学校体育大会が現状の運営では継続的な開催が困難であることを踏まえ、競技団体が主催する大会への一元化などにより、生徒の大会参加の機会を図ろうとしたものと認識している」と述べた。
一方で「中体連においては生徒、保護者へのアンケート調査の結果も踏まえ、競技団体などと調整を進めてきたものと理解しているが、一部の報道にある通り、競技団体の中ではまだ意見があるものと承知している。引き続き関係者の声に耳を傾けながら、丁寧に対応することが重要ではないか」とも指摘し、6月10日にスポーツ庁地域スポーツ課から口頭で、中体連の事務局に対して競技団体などと議論を重ねるよう依頼したことを説明した。