教育データの利活用 約8割の自治体が重点施策に位置付け

教育データの利活用 約8割の自治体が重点施策に位置付け
iStock.com/ismagilov
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 教育データの利活用の状況に関して文部科学省が全国の教育委員会を対象に行った調査で、約8割の自治体が、「教育データの利活用」や「教育DX」推進を自治体の教育振興基本計画などの重点施策に位置付けているか、今後位置付ける予定があると回答したことが、このほど分かった。一方で、必要性は感じても予算や人材不足でシステムの構築を進められない自治体も多く、同省は調査結果をもとに支援策も含めて検討を進めたいとしている。

 調査は今年3月、小中学校を所管する全国の教委を対象に行われ、1684の教委から回答を得た。

 この中で、自治体で教育データ利活用や教育DXの推進を教育振興基本計画や教育政策の基本方針に位置付けているかどうかについて尋ねたところ、「位置付けている」との回答が623自治体(37%)、「現在は位置付けていないが今後位置付ける予定がある」が738自治体(44%)に上り、約8割の自治体が重点施策に位置付ける姿勢で臨んでいることが分かった。「現在は位置付けておらず、今後も位置付ける予定はない」との回答も323自治体(19%)あったが、同省教育DX推進室によると、「重要性は理解している」と答えた自治体も多く、予算や人材不足などがネックになっているケースが見られたという。

 小中学校で今年度使用を予定しているデジタル教材に関しては、小中学校とも「デジタル教科書」「協働学習・授業支援ソフトウェア」「ドリル教材」の順に多く、4番目に多い「校務支援システム」についても85%以上の学校が使用を予定していると答えた。

 また、さまざまなデジタル教材で得たデータを分かりやすくまとめて表示するダッシュボード機能があるシステムの利用状況も調べた。「すでに利用している」と答えた自治体は247自治体(15%)、「今後利用を検討している、または検討する予定がある」が908自治体(54%)、「利用しておらず、今後利用を検討する予定もない」が529自治体(31%)だった。

 さらに「今後利用を検討する予定もない」と答えた自治体に理由を尋ねたところ、「必要性を感じているが、システムの構築に必要な費用・体制等が確保できないため」と答えたのが234自治体と、半数近くに上った。

 今後、教育データ利活用が、学校や教委が抱えるどんな課題に貢献することを期待するか(複数回答)については、「教員による児童生徒への学習指導の参考」が最も多く1264自治体、「教員の校務負担の軽減」が1172自治体、「教員による児童生徒への評価の参考」が696自治体、「教員による児童生徒への生活指導の参考」が632自治体となり、生徒への学習・生活指導から校務まで幅広く活用を期待されていることが分かった。

 今回の調査結果について、同省教育DX推進室は「かなり多くの自治体が教育データ利活用を重点施策に位置付けていることが分かった。ダッシュボードの活用などはできるだけ多くの自治体に取り組んでいただきたく、今回明らかになった課題解決や支援も含めて検討したい」と話している。

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