東京都教育委員会は6月13日、第9回定例会を開き、児童生徒を教職員等による性暴力から守るための第三者相談窓口の相談件数や内容について報告した。2023年度中の相談件数は合計1011件で、相談窓口がスタートした22年度と比較して、約4倍に増加していた。この理由について、都教委では「体罰や不適切な指導も含め、相談しやすいよう相談シートの項目を追加するなどしたため、増加したのではないか。性暴力などが疑われる相談件数は減少している」と説明した。
児童生徒を教職員等による性暴力から守るための第三者相談窓口は、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が22年4月1日から施行されたことを受けて開設された。都内の公立学校の教職員による児童生徒へのわいせつ行為、セクシュアル・ハラスメント、その他の不適切行為などについての相談・通報を電話・メールで受け付けるほか、相談シートを都内全公立学校の全児童生徒に配布している。
受け付けた相談は、区市町村教委や学校経営支援センターを通じて事実確認を行い、事実が認められた事案については指導や注意喚起を行うほか、重大事案の場合は服務事故として対処している。
相談件数は、小学校、中学校、義務教育学校、高校、特別支援学校、その他を含めて、電話・メールでの相談が143件、相談シートによる相談が868件で、合計1011件だった。合計235件だった22年度と比較して、約4倍に増加している。
これについて、都教委の担当者は「体罰や不適切な指導を含め、児童生徒が教職員に関する不安や悩みをワンストップで相談できるよう、相談シートに『傷つく言葉を言われた』などの項目を追加したため、大幅な増加となったのではないか」と説明した。
また、相談の内訳では、23年度の都内公立学校の教職員に関する相談は608件だった。そのうち、教職員による性暴力などが疑われる相談は28件で、事実が認められたものは2件あり、懲戒処分にしている。事実が認められなかったものは16件あったが、各事案において誤解を招く行動をしないよう注意喚起を行っている。加えて、加害者や相談者が特定できないなど、事実確認が困難であったものは5件で、その場合は区市町村教委に情報提供し、児童生徒の動向を注視するようにしている。
児童生徒同士のトラブルなどが疑われる相談は255件。このうち、児童生徒同士のトラブルが認められたものは137件で、認められなかったものは21件、事実確認が困難であったものは97件だった。
その他、家庭のトラブルが疑われる相談が19件、塾や私立学校など都内公立学校以外の相談や意見が129件だった。
担当者は「校内のポスター掲示など、児童生徒が相談しやすい雰囲気が醸成されてきたことから、身近な教員などに相談して発覚するケースもあった。信頼する人に相談しやすい環境整備にも取り組んでいきたい」と話した。