教員志望の高校生をターゲットにした「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業」について、文部科学省は6月18日、審査の結果、21件の事業を選定したと発表した。教員養成大学・学部がその地域で教員になる受験生を対象にした「地域教員希望枠」を設けたり、高校生に特別プログラムを提供したりすることで、地域の課題に対応した教員を安定的に養成できるようにする取り組みを支援する。
同事業は今年度予算で4億5000万円が新たに計上され、2028年度までの最長5年間、大学と教育委員会が連携し、大学入試における「地域教員希望枠」の導入や、この希望枠で入学した学生に対する地域課題に対応したコース・カリキュラムによる教育、教員志望の高校生向けの特別プログラムの導入など、大学入学前から教員採用までの一貫した取り組みを促す。
3月19日~4月19日に、教職課程を置く国公私立大学に公募を行ったところ、41件の申請があり、同事業委員会による審査を踏まえ、単独事業として20件、複数の大学による連携事業として1件を選定した。
滋賀大学では、生成AIが普及する一方で、データサイエンスやICT、DXを教える教員が地域に不足している問題に着目。高校生にデータサイエンスの意義を理解させ、希望枠で入った学生に、教育データサイエンス、ICT、DX活用力の強化などを柱にした教員の養成を行う。
琉球大学では、教員不足が深刻な沖縄県特有の教育課題に精通した教員を養成しようと、沖縄県の教員を志望する高校生対象の総合型選抜に希望枠を設定。学生が生まれ故郷の教員となることを基本方針に、離島へき地での教育体験などに力を入れる。