いじめ重大事態調査改訂 「チェックリストなどで着実に浸透」

いじめ重大事態調査改訂 「チェックリストなどで着実に浸透」
いじめ重大事態調査のガイドライン改訂について述べる盛山文科相=撮影:山田博史
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 「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の改訂に向けた素案が6月19日に示されたことを受けて、盛山正仁文科相は同21日の閣議後会見で、パブリックコメントを経て今年夏ごろをめどに改訂したいとの見通しを示した。素案は現行のガイドラインの約4倍の分量があり、現場への浸透が課題になるのではないかとの指摘については、「分かりやすくするために詳しく丁寧に記載している。チェックリストを作るほか、説明会などを通して学校現場に着実に浸透するよう努めたい」との考えを示した。

 いじめの重大事態の発生件数は2022年度に過去最多に上り、学校と教育委員会の連携不足による対応の遅れなどが背景にあるとして、文部科学省は重大事態の調査に関するガイドラインの改訂を進め、6月19日に有識者会議で素案が示された。素案には、重大事態発生の未然防止に向けた平時からの備えや、調査する主体となる第三者機関の中立性を確保するための考え方の整理、児童生徒への事前説明の手順などが詳しく記載され、分量は現行ガイドラインの約4倍に当たる60ページに及んでいる。

 この素案について、会見で盛山文科相は「重大事態の発生件数が過去最多になったことは大変深刻な問題であり、いろいろな背景があると思う。円滑かつ適切な重大事態調査の実施や、いじめを受けた児童生徒や保護者に寄り添った対応を促していくために、必要な修正をしてパブリックコメントを実施し、今年夏ごろをめどに改訂を行いたい」と述べ、今後の改訂の見通しを示した。

 一方、有識者会議では、ガイドラインや生徒指導提要などについて学校現場できちんと理解されていないケースがあるとも指摘されており、分量が大幅に増えるガイドラインをいかに現場に浸透させるかも課題になるとみられている。

 これについて、盛山文科相は「これまで分かりにくいという意見があり、記載の明確化や内容を充実させる中でボリュームが増えた。詳しく丁寧にしたつもりなので、それほど懸念する必要はないと考えている。今後チェックリストを作り、改訂後は説明会の実施や必要に応じて教育委員会の研修会に講師を派遣するなどして、学校現場に着実に浸透するよう周知や情報発信に努めていきたいと考えている」と述べ、改訂後に現場への周知に力を入れる姿勢を示した。

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