「先生の働き方と習慣」テーマのイベント 教員ら100人以上が参加

「先生の働き方と習慣」テーマのイベント 教員ら100人以上が参加
全国から100人以上が参加して行われた=撮影:松井聡美
【協賛企画】
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 自分のワクワクを羅針盤にする――。東京都公立小学校に勤務する二川佳祐教諭と都内で保育園・認定こども園の運営に携わる中西信介さんが主宰するBeYondLaboによる、「先生の働き方と習慣」をテーマとしたイベントが6月22日、コクヨの品川オフィスを会場に行われた。イベントには北海道や沖縄を含め、全国から100人以上の教員らが参加。インスタグラムで約6万8000人のフォロワーを持つ「ゆきこ先生」や、学校の働き方改革や組織開発に関わる「先生の幸せ研究所」代表の澤田真由美さん、文部科学省の学校業務改善アドバイザーとしての活動経験もあるコクヨの齋藤敦子さんらが登壇した。

 ゆきこ先生は教員2年目の時に、管理職から「初任校のうちに自分はここを極めるというものを持っておきなさい」とアドバイスを受けた。そこから教科の研究会に参加するなどしたものの、「自分はこれだ!」というものが見つからなかったという。同期はすでに自分の専門分野を見つけていたり、若くして主任教諭になったりする先輩がいるなど、周りの教員はみんなキラキラ語れるものがあるのに「自分は何も見つからない」と焦りを感じつつ、「それでも日々、やらなきゃいけないことは転がっていて、それを拾う毎日だった」と振り返った。

 そうしたことも重なり、適応障害で休職することとなったが、「休職したときに、自分自身に誠実になる覚悟を決めた。誰かの評価をもらうために教育をしようとしていた醜い自分も、自分で認めた。そこからやっと、人から認められることを手放せた」と話した。

 「もし、過去の私のように隣の誰かの活躍を見てしんどくなったり、自分には何も見つからないとしんどくなったりしている人がいたら、自分自身に誠実になり、自分の中にあるものを言葉にしてみることが、変わっていく一歩になるかもしれない」と投げ掛けた。

 年間800校、100の教育委員会に関わっている「先生の幸せ研究所」代表の澤田さんは、自身の活動について、「学校の働き方改革というよりは、日本の教育をもっと自由にしていきたいと思って取り組んでいる」と話した。

 冒頭、澤田さんは参加者に「名刺大の紙で、割り箸を真っ二つに割ることはできると思うか?」と問い掛けた。参加者の多くは「できない」と答えたが、実際に澤田さんがやってみると、割り箸はきれいに二つに割れた。

 「このように一見、できないと思うようなことも、やってみるとできることもある。思い込みを外すことが大事だ。『統計的にうまくいかないからやらない』ではなく、自分がワクワクするならやってみたらいい。ワクワクを羅針盤にしてみよう」と話すと、参加者も大きくうなずいていた。

 加えて「今やっていることが違うなと思ったら、手放してみたらいい。今やっていることがブレーキになっているのかもしれない。やりたい、ワクワク、心地いいと思っていることを、選び続けたらいいのではないか」とアドバイスを送った。

 これまで全国の学校の職員室の環境改革にも携わってきたコクヨの齋藤敦子さん。齋藤さんがスクリーンに1970年代のオフィスの写真を映し出すと、参加者の教員らからは「今のうちの学校の職員室とほぼ同じだ」「1970年代から全然変わっていないかも」との声が上がった。

 齋藤さんは、職員室のレイアウト変更などの例を出しながら、「働き方改革には『業務改善』『環境改善』『組織風土づくり』の3つの輪があるが、どうしても業務改善に意識がいきがちだ」と指摘。「業務改善と環境改善を一緒にやっていくこと、その上で組織風土づくりを複合的に進めていくことで、組織内に意識と行動の変化が起こりやすくなる」と強調した。

 会場では全国から集まった教員ら100人以上が交流。「オンラインでつながっていた人と、初めてリアルで会えた」と喜ぶ声があちこちで聞こえ、「全国の仲間に刺激を受けた」と充実の表情で教育について語り合っていた。

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