2021年6月に千葉県八街市で下校途中の児童5人が死傷した事故を受けてまとめられた、政府の「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」に基づく施策の進捗(しんちょく)状況について、警察庁や文部科学省など関係省庁の局長級で構成するワーキングチームは6月28日、第4回会合を開いた。小学校の通学路で危険性が指摘された全国7万6404カ所のうち、2024年3月末時点で、約95%に当たる7万2160カ所で必要な対策が完了し、暫定的な安全対策を含めると全ての箇所で安全対策の措置がとられたことが報告された。
八街市での事故を受け、21年6月に設置された「交通安全対策に関する関係閣僚会議」では、当時の菅義偉首相が再発防止に向け、通学路の総点検と交通安全を確保するための緊急対策をとるよう指示。文科省と国交省、警察庁が全国の小学校の通学路について合同点検したところ、7万6404カ所で安全対策を取る必要があることが判明した。
その後、警察庁では信号機の歩車分離化、押しボタン式信号機の設置、横断歩道の設置・更新などを、国交省では歩道の整備や交差点改良、防護柵や区画線の設置、文科省では安全教育の徹底、ボランティアなどによる見守り活動、通学路の変更などを実施してきた。
23年4月には、当初予定された対策の完了までに一定の期間を要する箇所が出てきたことが判明し、岸田文雄首相から暫定的な安全対策の実施も含め、23年度末までに対策必要箇所の全てにおいて安全対策を完了させるよう指示が出されていた。
この日のワーキングチームの報告によると、24年3月末時点で、全国の7万6404カ所の必要対策箇所のうち、7万2160カ所(94.4%)で対策が完了し、暫定的な安全対策を含めると全ての箇所で安全対策の措置がとられていた。今年4月の報告では、能登半島地震の被災地である石川県、富山県、新潟県の報告が含まれていなかったが、今回は3県の実施状況も含まれている。
現在の暫定的な安全対策の箇所について、内閣府の担当者は「新たに歩道を作るとなると用地買収などが必要となり、計画通り進まないケースもある。暫定的な安全対策となっている約4200カ所については、一概にいつまでに対策が完了するとは言えない状況」と説明した。
また、同日の閣議後記者会見で加藤鮎子こども政策担当相は「今後もこども家庭庁が司令塔となり、子どもが日常的に集団で移動する経路について定期的な合同点検を行い、対策の改善、充実を図るとともに、ハード・ソフトの両面から子どもをはじめとする歩行者の安全確保にしっかりと取り組んでいく」と述べた。