JASSOの貸与型奨学金、3割が「知らず」 情報発信に課題

JASSOの貸与型奨学金、3割が「知らず」 情報発信に課題
iStock.com/Photobuay
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 大学への進学など高等教育への経済的支援が拡大する中、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金の認知度について、「よく知っている」「ある程度知っている」と答えた割合は37.6%にとどまっていることが、文部科学省が6月28日に公表した「高等教育の教育費負担等に関する調査研究」報告書で分かった。「全く知らない」の回答が30.5%に上り、同省学生支援課は「奨学金制度などの認知度に課題があることが分かった。必要な人に制度が伝わるよう情報発信の在り方について検討していきたい」と話している。

 報告書は、同省の委託を受けた民間会社がまとめた。同省は、経済的に困難な学生が進学などを断念することがないよう、JASSOの貸与型奨学金の充実や、高等教育の修学支援新制度の創設などを進めてきたが、支援を必要とする学生などがきちんと制度を認知していることが前提であるため、その認知度を探ることなどを目的に調査が行われた。

 調査は昨年12月、全国の19~64歳の男女を対象にWEBで行われ、5300人余りから回答を得た。調査結果によると、JASSOの貸与型奨学金について、「よく知っている」と答えた割合は13.1%、「ある程度知っている」は24.5%で、合わせて「知っている」との答えは37.6%にとどまった。一方、「聞いたことはあるがあまり知らない」は31.9%、「全く知らない」が30.5%に上った。

 属性別でみると、「よく知っている」「ある程度知っている」を合わせた割合は男性50~64歳(39.4%)と女性50~64歳(41.9%)で高かった。子どもの人数は多い方が高くなる傾向があり、0人が31.3%だったのに対し、3人以上は49.4%とほぼ半数に達した。

 一方、JASSOの給付型奨学金の支給や、授業料などを減免する国の制度、修学支援新制度についての認知状況も聞いたところ、「よく知っている」が3.2%、「ある程度知っている」が11.9%で合わせて15.1%にとどまり、「聞いたことはあるがあまり知らない」は30.5%、「全く知らない」は54.3%だった。報告書では、クロス分析をした結果、修学支援新制度の利用者層である親世代の40~64歳で子どもがいる層で認知度が決して高くないとして、「認知度の一層の向上が課題」だと指摘している。

 同省学生支援課は、今回の調査の中で、特に奨学金制度や修学支援新制度の認知度について、「全く知らない」と答えた層が一定数いることが課題だとしており、「制度を知らなければ利用できないことを考えるとまず『全く知らない』人を減らしていくことが重要だ。今回の報告を踏まえて認知度を高めるための情報発信の在り方を検討したい」と話している。

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