高校入学時のパソコン代負担重く 困窮家庭への支援提言

高校入学時のパソコン代負担重く 困窮家庭への支援提言
iStock.com/Filipovic018
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 子どもの支援活動に取り組んでいる公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が7月3日に発表した、同法人が支援する家庭を対象に行ったアンケート調査の結果で、特に高校入学時のパソコンやタブレット購入費が高額で、家庭に重い負担となっていることが分かった。同法人は、新入学にかかる費用負担の軽減が必要だとして、支援制度の拡充や準備金制度の創設などを求める提言をまとめ、近く文部科学省などに提出することにしている。

 調査は、同法人が経済的に厳しい家庭などに中学・高校入学費を支援する「子ども給付金~新入学サポート2024~」の利用者を対象に実施し、保護者と中高生約800人から回答を得た。

 このうち、高校入学にあたってタブレット・パソコンの購入が必要だったかどうか質問したところ、「必要だった」の回答が、国公立で45.8%、私立で67.4%に上った。「学校が用意した」は国公立で25.5%、私立で13.7%にとどまり、多くは高校入学時にタブレット・パソコンを購入していることが分かった。「必要だった」と答えた人に対し、自治体や学校からの補助金や助成金があったか聞いたところ、「あった」の回答は国公立で44.4%、私立では4.7%にとどまった。

 パソコン・タブレット代で養育者が負担した金額については、全国平均額は国公立が6万496円、私立が8万6727円で、昨年の調査と比較すると国公立で約7000円上昇していた。

 自由記述では、こうした負担について、「ハイスペックなパソコンや携帯を購入するよう指定されたため、とても費用がかさんだ」(高1の母、北海道)、「パソコンやタブレット教育は必要だと思うが、それを整えるのが厳しい家庭もあるので、教育内容や必要なものに対して柔軟に補助金などを考えてほしい」(高1の母、高知県)という声が寄せられた。

 一方、高校1年生の保護者に高校就学について心配なことがあるか聞いたところ(複数回答)、「経済的な理由により就学を続けられない可能性がある」が47.8%と最も高く、半数近くが就学の継続に不安を抱えていることが分かった。次いで「本人の理由(不登校、成績不振など)で就学を続けられない可能性がある」が19.5%だった。

 同法人はこの結果を踏まえて、政府や自治体に対する提言をまとめた。この中には、▽パソコン・タブレット代負担に関する実態把握と国による助成拡大▽制服代や運動着代、パソコン・タブレットなど高額な費目について、学校指定品以外の選択を可能にし、価格の見直しを求める▽新入学にかかる費用の支援制度の拡充▽高校入学前の準備金の創設――などが盛り込まれており、近く文科省やこども家庭庁などに提出する。

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