標準授業時数について教育課程編成に関する学校の裁量を広げることに、約7割の小学校が賛成していることが7月10日、国立教育政策研究所がまとめた小学校学習指導要領実施状況調査の速報で分かった。同日に開かれた文部科学省の「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」の第13回会合で報告された。学習指導要領の基本的な考え方は、学校現場の教育課程や学習指導の改善に良い効果を与えたという回答が多かった一方で、学習指導要領の趣旨や内容の実現を妨げる要素として、教職員の多忙化や支援員などの必要な人員の確保、研修時間の確保などが挙がった。
小学校学習指導要領実施状況調査は、学習指導要領の改訂に向けて、各教科などの目標や内容に照らした児童生徒の学習の実現状況を調べる目的で実施されたもので、昨年2月6日~3月3日に、公立小学校70校を無作為抽出し、3~6年生に対して国語、社会、算数、理科、音楽、図画工作、家庭、体育(運動領域・保健領域)、外国語(英語)のペーパーテストによる調査などを行ったほか、児童、教員、校長にアンケートを実施するなどした。
その結果、各教科のペーパーテストからは、「知識・技能」に関して、事実的な知識は一定程度の定着がみられるものもあるが、知識を概念として習得することや、習得した知識を日常生活に当てはめたり、現実の事象と関連付けて理解したりすることの一部に課題がみられた。「思考力・判断力・表現力等」でも、具体的な問いを見いだすことは定着がみられたが、目的に応じて課題解決したり、自分の考えや根拠を明確に説明したりすることに課題があった。
教員や校長への教育課程についてのアンケートでは、主体的・対話的で深い学びや、資質・能力の3つの柱、各教科の見方・考え方など、現行の学習指導要領が示す基本的な考え方は、教育課程や学習指導の改善に良い効果をもたらしたという好意的な回答が多かった一方で、学習指導要領の趣旨・内容の実現に向けた課題では、教職員の多忙化や支援員などの必要な人員の確保、教職員の研修時間の確保といった項目が目立った。
また、標準授業時数について、教育課程編成に関する学校の裁量を広げることに対し、賛成が7割を超えた(=グラフ)。賛成した学校に、取り組んでみたいことを複数回答で尋ねると、年間総授業時数を確保した上で、一定の範囲で教科などの間で授業時数を調整できるようにすることを挙げた学校が62.7%に上った。