日本中学校体育連盟(中体連)が全国中学校体育大会(全中)の19競技のうち、2027年度以降、水泳など9競技を削減する方針を公表していることについて、室伏広治スポーツ庁長官は7月10日、記者との懇談で「競技団体が主催する大会の一元化を図ろうとしたものと認識している。子どもたちから競技スポーツを奪うということではない」と発言し、中体連の方針に理解を示した。
記者との懇談の中で、アテネオリンピック陸上男子ハンマー投げの金メダリストである室伏長官は「大会があることで目標となり、スポーツに打ち込む気持ちを育むのであれば良いことだが、大会の数が多くなって成長期の中学生に影響を及ぼしてはいけない」と述べ、中学生を対象にした全国大会が複数あるのは多過ぎるとの認識を示した。
スポーツ庁は22年12月に示した学校の部活動と地域クラブ活動に関するガイドラインで、開催回数の精選などの全国大会の見直しに言及しており、室伏長官は「今回の中体連の対応は、全中の継続的な大会開催が困難であることを踏まえ、競技団体が主催する大会への一元化などを前提に生徒の大会参加の機会を図ろうとするもので、競技団体との調整を進めてきたものと理解している」との述べ、中学校の部活動の地域移行が進んでいくことを踏まえて、中体連の動きを容認する姿勢を示した。
ただ、室伏長官は「競技団体の中には、まだ意見があるものと承知している。引き続き、関係者の声に耳を傾けながら対応することは重要。中体連には、子どもたちが混乱しないよう、引き続き適切な対応をするように求めた」と述べ、スポーツ関係者やアスリートの中にも認識に誤解や混乱がある現状を踏まえ、中体連の対応に対しては「丁寧に説明していく必要がある」と繰り返した。
全中は現在、夏季16競技、冬季4競技で開催されているが、中体連が今年6月に示した方針では、水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スケート、アイスホッケーが27年度以降、取りやめとなり、スキーも29年度が最後となる。少子化による生徒数の減少、夏季大会での猛暑対策、大会運営での教員の負担軽減といった課題が背景にある。