デジタル教科書のWGを新設 中教審デジタル学習基盤特別委

デジタル教科書のWGを新設 中教審デジタル学習基盤特別委
WGの取りまとめ案を検討したデジタル学習基盤特別委員会=オンラインで取材
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 中教審初等中等教育分科会のデジタル学習基盤特別委員会は7月12日、第4回会合を開き、GIGAスクール構想の1人1台端末の更新を見据えた次期ICT環境整備方針の方向性に関する、ワーキンググループ(WG)の取りまとめ案について協議した。併せて、学習指導要領の改訂やGIGAスクール構想の今後を見据えたデジタル教科書の効果検証や活用の推進を検討するWGを、新たに設置することを決めた。

 特別委員会の下に設置されている次期ICT環境整備方針の在り方WGでは、現行のICT環境整備方針に基づく「教育のICT化けに向けた環境整備計画」が今年度までであることから、現行のICT環境整備方針に代わる新たな方針の策定に向けた方向性を議論。この日の会合では、WGの前回会合で示された取りまとめの素案に、WGの委員の意見などを反映させた取りまとめ案が報告された。

 取りまとめ案では、次の方針でも現行の学習指導要領の期間となる見込みであるため、現行の整備方針の骨格を維持すること、昨年度補正予算で計上された「GIGAスクール構想加速化基金」で補助要件とされた端末のスペックや都道府県単位の共同調達などを前提にすることとし、学習者用端末は各教科の学習活動で必要な表計算や文書作成、プレゼンテーション、ブラウザ、協働のためのコラボレーションツール、ウェブ会議システムのソフトウェアなどを学習ツールとして標準実装することなどを盛り込んだ。

 また、「おわりに」では、この取りまとめが地方自治体にとって単に整備が求められる機器のリストとして捉えられるのではなく、最適なICT環境の整備とその適切な運用を確保し、令和の日本型学校教育の実現のための授業改善につなげていく指針として位置付けられることを強く望むと強調した。

 この日の議論では、緒方広明委員(京都大学学術情報メディアセンター教授)が「端末を使って教育をすると自然とデータがたまって、それを使って振り返ることで教育改善をしていく。PDCAサイクルを回すためのデータ利活用が必要だ。そのことがあまり書かれていないのは残念だ。すぐにとは言わないが、近い将来、こういう方向になると考えて基盤整備をすることも大事だということを加えていただけたら」と、教育データの利活用の観点から提案。

 藤村裕一委員(鳴門教育大学大学院学校教育研究科教授、教員養成DX推進機構長)は「能登半島地震で明らかになったように、端末の持ち帰りが標準になっていないと、緊急事態が起きれば学びが止まってしまう。毎日持って帰り、持ってくることによって、家庭と学校の学びをシームレスにできる。結果的にそれが大規模災害時にも強くなる、レジリエントスクール構想のようなものにもつながるといいのかなと思う」と、災害時の観点から端末の持ち帰りの重要性を指摘した。

 この日の会合では、2019年度から制度化されたデジタル教科書の活用が進んでいることを踏まえ、学習指導要領の改訂やGIGAスクール構想の第2期を見据えつつ、デジタル教科書の効果や影響を検証し、学びの充実の観点からデジタル教科書の在り方や推進方策、制度的な位置付けなどを集中的に検討するデジタル教科書推進WGの設置も決まった。

 また、文部科学省からは生成AIの技術革新や社会実装が急速に進んでいることを踏まえ、生成AIを教育や校務に利用する際の留意点などを話し合う「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議」が設置されることも報告された。

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