障害のある中高生が在宅ワーク体験 仕事の選択肢増やす

障害のある中高生が在宅ワーク体験 仕事の選択肢増やす
在宅ワークを体験する生徒ら=提供:スタッフサービス・クラウドワーク
【協賛企画】
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 障害のある中高生に在宅で働くという選択肢があることを知ってもらおうと、兵庫県内の複数の特別支援学校をオンラインで結んで、テレワークの就労体験をする取り組みがこのほど行われた。就労体験は、障害者雇用を推進するスタッフサービス・クラウドワークが協力。生徒は同社の社員とコミュニケーションを取りながら、表計算ソフトウェアで住所録を作成する仕事に挑戦した。

 同社では障害のある社員が全国各地で在宅勤務をしており、データ入力などの業務に従事している。さまざまな年代の人がチームをつくり、1日3回の定時ミーティングでは、業務の進捗(しんちょく)報告以外に雑談の時間を必ず設けるなど、コミュニケーションを重視している。数年前から特別支援学校と連携して障害のある生徒の就労体験の機会を提供しており、この日は兵庫県立和田山特別支援学校、同播磨特別支援学校、同氷上特別支援学校から9人の生徒が参加した。

 生徒らはお互いに自己紹介した後、同社の社員から作業のやり方について説明を受けた。与えられた業務は、企業の名前と住所が入った表から必要なデータを探し、データをコピー&ペーストして住所録を完成させるというもので、普段はあまり使うことのない表計算ソフトの操作に悪戦苦闘しながら、分からないことがあると積極的に質問していた。

 後半では、同じ兵庫県内で働く同社の社員から、仕事のやりがいや普段の生活の様子について話を聞き、質問をする時間も設けられ、生徒は在宅で働くイメージをつかんだり、コミュニケーションの大切さを実感したりしていた。

 「表計算ソフトの操作は難しそうだと思っていたが、やってみると意外とできて自信がついた。オンラインを使って、今度は面接の練習などをしてみたい」と和田山特別支援学校中等部2年生の西村羽空斗さん。同校高等部2年生の南圭祐さんは「伝えることってすごく難しいと感じた。将来はパソコンを使った仕事をしたいと考えているが、遠隔でロボットを操縦する仕事も体験してみたい」と話していた。

 講師役を務めた同社の宮下泰孝さんは「実際に知ってもらう、経験してもらうことがないと、在宅で仕事ができるということが分からない。どうしても特別支援学校の中だけだと視野が狭くなってしまう。どんどんオンラインでいろいろなことを経験したり、参加したりしてもらえたら、これからの人生の可能性が広がっていく」とエールを送る。

 この取り組みについて、同校の西岡敬生教諭は「在宅ワークで彼らの将来の引き出しが増えるのは、すごくありがたい。体験中、教員は後ろで見ていたが、生徒が困っていてもあえて声を掛けたり、手を貸したりはしないようにしていた。学校や家庭では、自分自身が困る前に支援の手が入ることの方がまだまだ多いが、これから社会に出ると、困り事に直面して周りに伝えなければいけなくなるので、今回の仕事体験はそういったことも実感できたのではないか」と振り返る。

 

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