小学校プールの水流出で校長や教員らに賠償請求 石川県小松市

小学校プールの水流出で校長や教員らに賠償請求 石川県小松市
iStock.com/Kharkhan_Oleg
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 石川県小松市立芦城小学校のプールで、5月と6月に15日間にわたり、25メートルプール約23杯分に相当する水道水が流出した事案について、原因を調査してきた市は、校長や教頭、プール管理担当の教員ら計4人に、損害額271万円の半分に当たる135万5千円を請求することを決めた。

 小松市教育委員会によると、同小では5月22~23日と5月29日~6月10日にかけて、給水元栓からプール施設につながる配管に取り付けられた泥排水用のバルブが開いた状態のまま、給水が続けられていた。管理マニュアルでは、プールに給水する際は、元栓を開け閉めするよう決められていたが、担当教員はプールに直接水を入れる吐水口の栓を開閉して給水していたという。

 また、同小では2010年にも同様の流水事故が起きていたため、元栓のそばに量水計を設置し、毎日定時に水の使用量を記録することになっていた。担当教員は5月は記録せず、6月は記録していたが、プールに水がたまり、自身が吐水口からの給水を停止した6月5日以降10日までの間も、使用量が増え続けていたものの、異常に気が付かなかったという。

 2つある泥排水用バルブについては、もう1人のプール管理担当の教員が5月21日に両方とも閉栓したといい、その後に給水を担当した教員も、一方のバルブについては閉じられているのを確認したという。しかし、6月11日に水道の定期検針でこの流出事案が発覚後、市教委の担当者が現地調査したところ、バルブは2つとも全開となっていた。

 市教委は、▽給水止水を元栓の開閉によって行うべきところを吐水口の開閉によって行った▽水の流出期間が15日間と長期間にわたった▽使用水量を把握して異常は容易に気づけたはずだが、記録を取らず、取った期間も使用水量を計算していなかった▽担当教員以外の教職員、特に校長、教頭が担当教員へ水の使用量の確認などを一切行っていなかった――などとして、「過失が非常に大きい」と判断。「管理監督にあたる職員の責任がより重たい」として、校長と教頭がそれぞれ3分の1ずつ、プールの管理担当だった2人の教員は合わせて残りの3分の1を負担するように求めた。4人は了承しているという。

 学校プールの水が出しっぱなしになる事案は、全国で相次いでいる。文部科学省は今月10日、学校プールの管理の在り方についての通知を出し、「学校プールの管理業務が担当する教員等にとって過度な負担につながっている事態も見受けられる」とし、学校プールの管理を民間に委託することや、学校で管理する場合も自動で給水を止めるためのシステムの導入や複層的なチェック体制を構築すること、地域の公営・民営プールを活用することなどを検討するように求めている。

 教育新聞が7月4日から電子版で行っている「Edubate」の読者投票では、一般論としてプールの水を止め忘れた教員が損害を負担することについて、19日午後7時現在で「負担させるべきではない」という意見が79%(239件)を占めていて(参照記事:【教員×投票】プールの水の止め忘れ 教員の損害負担、どう思う?)、学校でのプール管理の在り方、担当した教員らの賠償責任について議論を呼んでいる。

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