幼保小の架け橋プログラム 保育士研修での活用など議論

幼保小の架け橋プログラム 保育士研修での活用など議論
「はじめの100か月の育ちビジョン」について討議した「幼児期までのこどもの育ち部会」第11回会合=撮影:水野拓昌
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 こども家庭庁で7月22日、こども家庭審議会「幼児期までのこどもの育ち部会」の第11回会合がオンライン参加も交えて開かれ、「こどもまんなか実行計画2024」の「はじめの100か月の育ちビジョン」施策に関して報告があり、ビジョンの取り組みについて討議された。乳幼児期の切れ目ない支援策の中で、学校が地域の幼児教育機関と連携して取り組む「幼保小の架け橋プログラム」について具体的な課題が指摘された。

 「はじめの100か月の育ちビジョン」は、妊娠期から子どもが小学校に入学するまでの100カ月前後を切れ目なく支援していくことを目的に策定された。こども家庭庁は、この期間が人格の基盤を築き、生涯のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に幸せな状態)の向上にとって重要な時期と捉えて、さまざまな施策を展開していく方針だ。

 同ビジョンの中で、子どもが保育園、幼稚園から小学校に入学する時期の「幼保小接続」の問題については、文部科学省が2022年度からモデル地域での先進事例の実践を進めている「幼保小の架け橋プログラム」を推進し、5歳児から小学1年生の2年間の教育の充実を図ることを掲げている。

 審議の中で、古賀松香委員(京都教育大学教授)は「保育園、幼稚園は民間施設が多い。こうした民間園が架け橋プログラムに積極的に参加できるかは子どもの育ちに関わる重要な部分」とした上で、保育士等キャリアアップ研修と架け橋プログラムの連携についての課題を指摘。保育士等キャリアアップ研修には小学校との接続もテーマとなっており、架け橋プログラムとの連携は重要だが、実際には負担が大きく、連携しにくいという現場の声があるという。架け橋プログラムをキャリアアップ研修に組み込めるような活用しやすい仕組みづくりが必要と提言した。

 また、吉田大樹委員(NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事)は、幼保小接続での放課後児童クラブの重要性を強調。5歳児から小学1年生の2年間の教育カリキュラムを開発、実施、評価するために、幼保小関係者や有識者、教育委員会・自治体・地域の関係者などで構成される「架け橋期のカリキュラム開発会議」に放課後児童クラブ関係者の参加を要望した。

 この日の会合では、「はじめの100か月の育ちビジョン」の地域コーディネーター養成事業で、全国の10地域で活動するモデル団体を選定し、今秋から具体的な取り組みを実践することや、全国2万人対象の乳幼児を取り巻く生活の実態調査など3つのテーマで調査研究が計画されていることなど同ビジョンの関連事業の進捗(しんちょく)状況について、こども家庭庁から報告された。

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