日本初開催のデフリンピック機に 手話に親しむ特別授業

日本初開催のデフリンピック機に 手話に親しむ特別授業
デフリンピックや聴覚障害について学んだ特別授業=撮影:藤井孝良
【協賛企画】
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 来年初めて日本で開催される聴覚障害者の世界的なスポーツ競技大会「デフリンピック」を知ってもらおうと、東京都品川区立台場小学校(中嶋英雄校長、児童347人)で7月19日、デフ柔道の佐藤正樹選手らによる特別授業が行われた。6年生の児童が佐藤選手らと、音が聞こえなくてもスポーツができるデフリンピックの競技の工夫や、手話をはじめとする聴覚障害者とのコミュニケーションを学んだ。

 おおむね4年に1度開かれるデフリンピックは、来年11月に東京都、静岡県、福島県で12日間にわたり21競技が開催され、世界各国から約3000人のデフアスリートが参加する。この日の授業では、今年カザフスタンで行われた世界ろう者柔道選手権で優勝した佐藤選手らが来校し、6年生の児童に2時間の授業を行った。

 1時間目はデフリンピックや聴覚障害について、クイズを交えながら理解を深めた。クイズで児童は、手話通訳を介さずにジェスチャーなどで佐藤選手に答えを伝えた。また、聴覚障害の人は、生まれつき耳が聞こえない人もいれば、高齢になってから耳が聞こえにくくなってしまった人、高い音は聞き取れるが、低い音は聞き取れない人など多様であり、コミュニケーションの方法も、手話をはじめ、筆談や音声など、さまざまであることが紹介された。

 さらに、子どもたちは佐藤選手らから手話を教わった。言語である手話は世界に200種類以上あるということや、同じ「ありがとう」でも、友達に使うときと目上の人に使うときなど、ニュアンスの違いや気持ちを表情や体の動きも交えて伝えていることを学んだ。

 2時間目の授業では、体育館で実際にデフ陸上で使用されている、光によってスタートの合図を出すスタートランプを体験したほか、振動によって音を伝えることで、聴覚障害のある人も一緒に音楽やダンスを楽しめるデバイス「Ontenna(オンテナ)」を取り付けて、来年のデフリンピックに合わせて作成された、手話を取り入れたダンス「しゅわしゅわ☆デフリンピック!」を踊った。

 授業に参加した児童は「20人に1人が聞こえなかったり、100人に1人が手話を使って話したりしていると教わって、身近に感じた。手話は一度体が覚えたらずっと使えるので、自分の名前や『ありがとう』など、簡単なものだけでも覚えられたら」と感想を話した。

 佐藤選手は「聞こえなくても夢や感動を与えられることを伝えたいと思った。デフリンピックがあるということを知ってもらえたら、うれしい。そこから少しずつ、皆さんができることをやってほしい。例えば、(聴覚障害者との)コミュニケーションの工夫をしたり、視覚情報を提供したりするなどのサポートができると思うので、身近なところからやっていただけたら」と手話で呼び掛けた。

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