「精神論では語れない」 教職調整額大幅増を山梨県知事が要望

「精神論では語れない」 教職調整額大幅増を山梨県知事が要望
阿部文科副大臣(右)に要望書を渡す山梨県の長崎知事=撮影:山田博史
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 山梨県の長崎幸太郎知事は7月23日、文部科学省を訪れ、教員の処遇改善に向けて、給特法に定める教職調整額を現行の4%から大幅に引き上げるよう求める要望書を、阿部俊子文科副大臣に手渡した。長崎知事は「精神論だけでは語れず、仕事に見合った適正な処遇改善は大前提だ」と強調。引き上げの幅については10%でも足りず、さらに高い数字を目指してほしいと要望した。

 要望書では、小中学校ともに教員の時間外在校等時間が大幅に増大する中、現在4%の教職調整額では正当な対価とは到底言えず、教員のなり手不足の一員になっていると指摘している。実際、2024年度の山梨県の公立小学校教員の志願倍率は1.4倍と過去最低となっており、「大胆な処遇改善を早急に実現させる必要がある」と強調、教員の勤務実態を踏まえた教職調整額の大幅な引き上げを求めている。

 長崎知事は要望を終えた後、取材に対し、「教員不足の解消に向けて処遇は重要で、精神論だけでは語れない。若い人にとっては年収が日常的に話題になり、仕事に見合った適正な処遇は大前提だ」と述べた。

 教職調整額を巡っては、予算編成の基本方針となる「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)で、少なくとも10%以上に引き上げることが明記されているが、長崎知事は「10%以上とする方針は大歓迎だが、10%では残業時間にして20時間で、まだまだ足りないと考えている」と述べ、さらにより高い数字になるよう阿部副大臣に要望したことを明らかにした。これに対して阿部副大臣は「現場の声を予算編成プロセスで、財政当局にしっかり伝えたい。一緒に頑張りましょう」などと答えたという。

 こうしたことも踏まえて長崎知事は「山梨県では、教員の負担軽減に向けた文書半減プロジェクトや25人学級の導入などに取り組んでいるが、処遇改善がなければ教員の確保は厳しい状態が続くと思う。仲間の自治体も募って、財政当局や与党に対して現場の厳しい声を伝えていきたい」と述べ、引き続き教員の処遇改善に向けて働き掛けを続ける姿勢を示した。

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