各学校に「安全の中核担う教職員」配置が重要 有識者会議

各学校に「安全の中核担う教職員」配置が重要 有識者会議
学校安全を巡って議論が交わされた文科省の有識者会議=オンラインで取材
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 安全な学校環境の整備に向けた方策などを検討する文部科学省の有識者会議(座長・渡邉正樹東京学芸大学名誉教授)が7月26日、オンラインで開かれ、学校安全を推進する組織体制の在り方に関する中間まとめ案が示された。この中では、校長のリーダーシップの下、各学校に「学校安全の中核を担う教職員」を置くことが重要であるとして、今後、その役割や養成の仕方などについてさらに検討を進めることになった。

 同会議では現在、コミュニティ・スクールなど地域との連携も含めた学校安全を推進するための組織体制の在り方について検討を進めており、同日は、同会議の下に設置されたWG(ワーキンググループ)がまとめた中間まとめ案を巡って意見が交わされた。

 中間まとめ案では、大地震などのリスクに直面するとともに学校の働き方改革が喫緊の課題となる中、学校の安全は地域や関係機関と連携して推進することが強く求められているとし、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の仕組みを活用して、地域の関係者と共に学校安全の実効性を高める必要性を指摘している。

 その上で校内の組織体制整備に向けて、校長のリーダーシップの下、各学校に「学校安全の中核を担う教職員」を置くことが重要であると明記し、その位置付けや役割、養成・育成について先進事例を集めながらさらに検討を進める必要があるなどと強調している。

 この中間まとめ案の内容について、各委員はおおむね賛同しつつ、要望も相次いだ。桐淵博委員(日本AED財団理事)は「『学校安全の中核を担う教職員』という名称と概念が打ち出されたことは画期的だと思う。現有の教職員の中から育成する視点だけでなく、これから教員を目指す人を育てるという視点も含めて示されたことは重要で、学校安全の核になる考えと思う」と評価した。

 大木聖子委員(慶應義塾大学環境情報学部准教授)は「学校で訓練を重ねて改善が進むと、ある段階から保護者や地域住民などステークホルダーが増えて、学校安全というより地域の防災力を高めることにつながる。その意味で訓練に触れる下りは、学校だけでなく地域全体の防災力が高まるということを踏み込んで記述してもいいと思う」と述べた。

 小学校の校長経験もある木間東平委員(東京都葛飾区教委教育指導課教員研修担当指導員)は「校長のリーダーシップが肝と考えており、中核教員の研修体制の充実の前に校長の研修充実が必要だと思う。都道府県か市町村単位で、安全教育について校長の研修体制を位置付けることが大事だと考える」と指摘した。

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