子どもや若者の自殺が夏休み明け前後に増える傾向があることから、文部科学省や厚労省などは8月1日から、自殺防止に向けた取り組みの強化に乗り出した。文科省では、各都道府県教委などに通知を出して、全校登校日や1人1台端末の活用などを通して、悩みや困難を抱える児童生徒の早期発見に努めて欲しいと呼び掛けている。
小中高生の自殺者数は毎年増加傾向にあり、警察庁・厚労省の自殺統計によると、2022年に過去最多の514人に上り、23年も513人と同水準で推移している。過去の統計から、特に夏休み明けの9月1日前後に最も自殺者が多くなっており、児童生徒にとって生活環境などが大きく変わる契機になりやすいことや、プレッシャーから精神的動揺が生じやすいことが背景にあるとみられている。
このため文科省と厚労省、こども家庭庁、内閣府は連携して、8月1日から子どもや若者の自殺防止に向けた啓発活動を始めた。YouTubeに動画広告を掲載したりSNSで相談窓口を案内したりと、各省庁で取り組みを進めている。
このうち文科省は夏休みに入る前の7月12日に、各都道府県教委などに自殺予防に向けた通知を出した。この中では、▽学校における早期発見の取り組み▽保護者に対する家庭における見守りの促進▽学校内外における集中的な見守り活動▽ネットパトロールの強化――の4項目について対応を求めている。特に昨年の児童生徒の自殺の原因・動機として、学校問題のうち約6割が学業不振や入試・進路に関する悩みであったことから、全校登校日などを通して進路指導の充実や見守り活動を丁寧に進めて欲しいとしている。
また、23年度の補正予算で事業化された「1人1台端末等を活用した『心の健康観察』の導入推進」などを通して、多くの自治体で児童生徒の心や体調の変化などを把握できるICTツールが導入されていることを踏まえ、1人1台端末も活用して児童生徒が発するSOSの早期発見や早期支援につなげて欲しいと呼び掛けている。