いじめ調査アドバイザーと加藤担当相が意見交換会 こども家庭庁

いじめ調査アドバイザーと加藤担当相が意見交換会 こども家庭庁
いじめ調査アドバイザーと意見交換会を行った加藤担当相=撮影:松井聡美
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 加藤鮎子こども政策担当相は8月7日、いじめ重大事態の調査委員会を自治体が立ち上げる際に、第三者性の確保の観点から助言を行う「いじめ調査アドバイザー」との意見交換会を行った。アドバイザーからはこれまでの自治体からの相談内容や助言内容について報告があり、「いじめの重大事態調査中でも学校や関係者から子どもに対する支援を続けられるようにしていく必要がある」など、今後の対応策についても意見が出され、加藤担当相は「自治体と連携し各地域でのサポートを充実できるよう、概算要求や今後のいじめ防止対策のさらなる強化に向けて取り組みを充実させていく」と述べた。

 2022年度のいじめ重大事態の発生件数は923件と過去最高になるなど、深刻な状況が続いている。また、いじめ重大事態の調査は調査委員の第三者性確保の課題などにより、調査の着手が遅れるなどの問題が指摘されており、こども家庭庁では23年9月に学識経験者など8人を「いじめ調査アドバイザー」に任命した。

 同アドバイザーは、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態調査や再調査について、地方自治体などからの要請に応じ、第三者性の確保の観点から中立で公平性のある調査方法の実施や、調査委員の人選などに助言を行ってきた。23年9月の事業開始から24年7月末までの相談件数は12件。内訳として、都道府県(首長部局)が3件、都道府県(教育委員会)が1件、市区町村(政令市含む首長部局)が1件、市区町村(政令市含む教育委員会)が7件となっている。

 相談内容として「調査組織に加える第三者委員の人選について、どのような専門分野の者を加えることが考えられるか」といった人選に関するものや、「調査対象者の教員が精神疾患による休職中で、聞き取りができない場合の調査の進め方や留意点について知りたい」といった調査方法に関するものなどが報告されている。

 この日、委員からは「重大事態調査中でも、学校や関係者から子どもに対する支援を続けられるようにしていく必要がある」「いじめの調査を通じて、子どもが何に困っているのかを把握し、それを解決するために支援していく視点が大切だ」「不登校の支援をしていく過程で、背景にいじめがあったことが分かるケースもある。教員が全てを引き受けるのではなく、福祉部局なども含めて、地域からのさまざまな支援が受けられるようにしていくべきだ」といった対応策が出されたという。

 これに対し、加藤担当相は「各地域の福祉部局や専門家による子どもや家庭に対する支援を充実させていく必要があるとともに、その際に学校との連携を進めていく必要があることを確認できた」と述べ、「福祉のことをよく理解し、また学校のことも理解した上でそれらをつないでいけるというこども家庭庁の強みを生かして、いじめを受けた子どもや不登校になった子どもに対して自治体と連携し、各地域でのサポートを充実できるよう、概算要求や今後のいじめ防止対策のさらなる強化に向けて取り組みを充実させていきたい」と強調した。

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