こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議が8月8日、こども家庭庁で行われ、2023年6月に取りまとめられた「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づく取り組みの進捗(しんちょく)状況が報告された。こども家庭庁は、こどもの自殺の要因分析を行う調査研究事業について報告。「教委などが保有する報告書などを収集したことで、生前に置かれていた状況など、自殺対策に役立ちうる情報が含まれていることを確認できた」とし、さらなる情報収集に取り組んでいくと話した。
近年、小中高生の自殺者数は増加。22年の小中高生の自殺者数は514人と過去最多となったことを受け、政府は関係省庁連絡会議を開催し、23年6月に「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめた。現在、同プランに基づく各施策の目標や進捗を見える化したロードマップを作成した上で、各省庁がこどもの自殺対策に取り組んでいる。
会議の冒頭、加藤鮎子こども政策担当相は「ロードマップに基づき、施策の進捗確認を行うとともに、必要に応じて施策の見直しを検討していくことが重要だ」と強調し、「こどもが自ら命を絶つことのない社会の実現に向け、引き続きワンチームとなって取り組みを進めていきたい」と挨拶した。
その後は、各省庁から取り組みの進捗状況が報告された。こども家庭庁では、こどもの自殺の実態解明に取り組むため、警察や消防、学校や教委、地方自治体などが保有する自殺に関する統計およびその関連資料を集約し、要因分析を行う調査研究事業を、23年12月から24年3月に実施した。
都道府県教委などが保有する事件等報告書等について、過去5年分の提供を依頼した結果、272件の報告書等を収集。それらを分析したところ、例えば、学校の出席状況については「以前と変わりなく出席」が44%、「不登校または不登校傾向」が10%、「2週間以上前から欠席が目立った」が8%、「2週間前以内から連続して欠席」が7%などと続いた。
また、周囲の気付きに関しては、「自殺の危機も変化も気付かれていなかった」が21%、「何らかの変化は気付かれていた」が15%、「自殺の危機を気付かれていた(保護者または学校)」が13%、「自殺の危機を気付かれていた(友人ほか)」が5%だった。
こども家庭庁の担当者は「今回収集することができた資料には、自殺統計や救急搬送のデータなどでは把握しえなかった『生前に置かれていた状況』や『自殺の直前にあった出来事』など、自殺対策に役立ちうる情報が含まれていることを確認できた」と一定の収穫はあったとした上で、「ただ、こうした項目が自殺と関連があったか否かの判断は行っておらず、こうした状況に該当することが自殺の要因となることを示唆しているものではない」と話した。今後の課題については「自殺の要因の明記がない、あるいは不明と記載されている報告書が大多数を占めており、より詳細な情報をいかに多く収集するかだ」とした。
また、厚労省の報告によると、今年1月から6月までの小中高生の自殺者数(7月16日現在)は合計229人で、前年の1月から6月までの小中高生の自殺者数より5人多く推移していることが分かった。