学校現場の働き方改革が課題となる中、教職員の業務削減や効率化につながる民間事業者の最新サービスを学校関係者が体験できるイベントが8月19日、東京都内で行われた。首都圏各地から教職員や自治体関係者などが訪れ、採点支援や生成AIによる課題作成など教職員の負担を軽減する先端のシステムに触れた。
この「学校活動支援サービス体験&研修会in 東京」は、経産省が学校の教職員の業務削減・効率化につながるサービス導入に取り組む事業者に経費の一部を補助するとともに、採択されたサービスを学校関係者に実際に体験してもらい、働き方改革に役立ててもらおうと昨年度に続いて開催した。会場には民間企業やNPO法人など60の事業者ブースが設けられた。
昨年度は探究学習支援に重点を置いたツールが中心だったのに対し、今回は教育現場の多忙化が指摘される中、特に学校の働き方改革につながるサービスを中心に紹介された。このうち全国で3000校以上に導入されているという採点支援システムを紹介する事業者のブースでは、パソコン操作が苦手な教員でも設問が作りやすいシステムで他社との差別化を図っていることなどが説明されていた。
保護者との連絡手段の最新ツールを紹介するブースも複数あり、あらゆる学校連絡をLINEでやり取りできるシステムや、自動音声の電話やウェブで対応することで教職員の負担を軽減するシステムなどが紹介されていた。
さらに進化のスピードが速い生成AIを活用した探究学習支援ツールを体験できるブースも複数あり、「大谷翔平選手の寄贈グローブ」と入力するだけで、授業に用いられる学習の方向性を示してくれるツールなどが実演されていた。
また、体験会に先立ち、会場では「働き方改革と民間サービス活用」をテーマにしたトークセッションが開かれ、前さいたま市教育長の細田眞由美さんと東京都教育庁人事部勤労課の松永武志課長が登壇し、経産省サービス政策課教育産業室の五十棲浩二室長が進行を務めた。
はじめに松永課長が、東京都で都立高校を中心に「定期考査採点分析システム」を導入し、今年度の1学期中間テストで69万枚もの答案用紙の採点に使用したことや、生成AI研究校を20校指定して校務や授業をどう効率化できるか模索していることを紹介し、「先生の時間外在校等時間を減らすだけでなく、先生方の満足度向上などライフワークバランスにもしっかり取り組むことが重要。先生方にやりがいを感じてもらうことを見据えて、機械的ではない働き方改革を進めたい」と述べた。
また、細田さんは「働き方改革は量的な時短などが重視されてきたが、今は質的な働き方改革に移行していると思う。教員が熱意と誇りを持って成長感が得られる職場づくりに向けて、いかに学校以外の力も借りて進めるかが重要だ」と強調した。