夏休み明けに悩む子どもたちへ 安心できる居場所を紹介

夏休み明けに悩む子どもたちへ 安心できる居場所を紹介
「♯学校ムリでもここあるよキャンペーン2024」のHPより
【協賛企画】
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 夏休み明けに子どもの自殺が増える傾向があることから、学校に行きたくないと悩む子どもたちが学校や家庭以外で安心して過ごせる居場所や相談場所を紹介する特設サイトをNPO法人が立ち上げ、利用を呼び掛けている。8月20日夜にはオンラインでオープニングイベントが開かれ、悩む子どもたちに「仲間や助けてくれる大人も絶対いるので、自分の気持ちを話してほしい」などとメッセージを発した。

 この「♯学校ムリでもここあるよキャンペーン2024」は、NPO法人「多様な学びプロジェクト」が中心となって毎年、夏休み明けの時期に続けている。全国的に大人の自殺が減少している一方で10代の自殺は増加傾向にあり、特に夏休み明けに「学校に行きたくない」と発信して死を選択してしまう子どもが増える傾向があるとして、SOSサインを発する子どもたちに寄り添い、子どもの自殺を社会全体で防ごうと5年前に始めた。

 特設サイトでは、この取り組みへの参加を表明した遊び場や子ども食堂、フリースクールなど、無料で居場所を開放したり相談に乗ってくれたりする全国70カ所以上の施設が紹介され、都道府県別に検索できる。それぞれ施設でできることや特徴なども掲載されている。特設サイトは9月9日まで開設されている。

 20日夜にはオンラインでオープニングイベントが行われ、子どもの自殺対策や遊び場づくりに取り組むNPO法人関係者などが参加した。

 基調講演では、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクの鈴木洋平さんが、小中高生の自殺者数が過去最多ペースで高止まりし、特に9月は過去2年間でいずれも50人を超えてリスクが高い時期だと指摘、子どもからいかにSOSを発してもらうかや、大人が異変に気付くことが重要だと強調した。ただし、一方で子どもの自殺の予兆は見えづらく、相談にハードルを感じる子どもが多い事情を説明した上で、「周囲ができることとして相談窓口の受け皿の拡充とともに、相談しやすい環境づくりや『死にたい』という気持ちをやり過ごせる居場所を拡充することが大切だ」と述べた。

 続いて行われたパネルディスカッションでは、鈴木さんに加えてエッセイ漫画家の今じんこさんとNPO法人多様な学びプロジェクトの前北海・副代表理事、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会の関戸博樹代表が参加した。

 今さんは、母親として息子の不登校でうつ状態に陥った体験を語り、「学校に行きたくないということに自分は偏見がないと思っていたが、自分の子に対して多様性を持つことが難しくなり、混乱した時期があった。その後、相談すると助けてくれる人が多いことに気付けた」などと、周囲への相談を通してつらい時期を乗り切れた経験を述べた。

 前北さんは、不登校から「死にたい」とまで思った自らの経験を語り、悩む子どもたちに対して、「ちょっと待つことがとても大切だと思う。行ってしまったら戻れない。逃げてもいいし自分を甘やかしても生きてほしい。仲間もいるし、助けてくれる大人が絶対いるので、少し回復したら自分の気持ちを話してほしい」とメッセージを送った。

 モデレーターを務めた関戸さんは、子どもたちが自由に過ごせる冒険遊び場づくりを全国に広めている活動を紹介し、「我慢することが常態化して、苦しくても言えない人が大人も含めていっぱいいる。もっと大人自身が遊び心や地域とのつながりを取り戻し、学校に行けない人たちが集える場所があれば地域の寛容性も広がっていくと思う」と述べた。その上で、今回のキャンペーンで「ここあるよ」と登録してくれた居場所に、親子などで気軽に足を運んでほしいと呼び掛けた。

 キャンペーンのサイトはこちら

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