中高生に社会保障制度の仕組みなどを学んでもらおうと、NPO法人Social Change Agencyはこのほど、社会保障が学べるゲームを開発した。ゲームを通してグループで議論し、社会保障を知るきっかけにしてほしいと考案。テスト版を体験してもらう教育現場を募集している。
同法人は「社会保障を名実ともにセーフティーネットにする」というビジョンを掲げ、中高生を中心とした社会保障教育を事業の柱の一つにしている。
開発したゲームは、5人前後のグループに1人の架空キャラクターが割り当てられ、さまざまなピンチが書かれたカードを引き、生活にどんな困った状況になるか、どう対応するかグループで討議し、利用できそうな社会保障制度を探していく。ゲームのキャラクターは10種類で、ヤングケアラーの高校生、大学進学への経済的不安を抱える高校生などと設定されている。また、ピンチカードは病気、けが、事故、失業、パワハラなど約20種、社会保障カードは50種程度用意されている。グループごとにキャラクターのカードを割り振り、複数のグループでのプレーを想定している。
今回開発したゲームはテスト版として、学校などの教育現場で実際に中高生に体験してもらい、ないじみやすい普及版に改良していく予定だ。同法人の横山北斗代表理事は「もともと社会保障制度は数多くあっても、知られていないために利用されていないという問題意識があった。中高生に学びやすいプログラムとしてゲームを開発した」と説明。「例えば、家賃が払えなくなったら、すぐに借金するのではなく、その前に関係する公的な支援制度はないか考えてもらうきっかけになれば」と話している。
同法人ではテスト版を体験してもらう学校やフリースクール、子どもの居場所機能を持つ機関などを募集している。当初5カ所程度を想定していたが、すでに問い合わせが多数あることから体験校を増やすことも検討している。派遣されるファシリテーターの交通費が必要。問い合わせなどは、同法人のHPから。