男女別学の県立高共学化 主体的に推進、埼玉県が報告書

男女別学の県立高共学化 主体的に推進、埼玉県が報告書
iStock.com/maroke
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 埼玉県の男女共同参画苦情処理委員からの勧告を受けて、男女別学の県立高校の在り方を検討していた埼玉県教育委員会は8月22日、県教委として、「主体的に共学化を推進していく」とする報告書を公表した。中高生も含めたアンケートなどで、男女別学の学校について「共学化すると、伝統の尊重や校風の維持ができなくなる」という意見があるなど、さまざまなニーズがあるとして、男女別学の学校の共学化にあたってはアンケートや地域ごとの意見交換、有識者からの意見聴取などを実施し、県民の意見を丁寧に把握する必要があるとし、具体的な時期などは示さなかった。対応策の一つとして、県立高校における女性管理職の増加も盛り込んだ。

 同県内には現在、12校の男女別学の県立高校があり、全国で最も多い。県の男女共同参画苦情委員は昨年8月、県立高校の男女別学の高校では、管理職や教職員の格差が問題として浮き彫りになっていると指摘。共学化を早期に実現すべきだと勧告した。

 これを受けて県教委は県内在住・在学の中高生やその保護者にアンケートを実施。男女別学の県立高校の在り方を尋ねたところ、「男女別学校は、共学化した方がよい」は中学生で18.7%、高校生で7.8%。「男女別学校は、共学化しない方がよい」は中学生で19.3%、高校生で57.2%と、特に高校生世代で共学化に反対する意見が多かった。「共学化しない方がよい」と答えた理由では「男女共学校・男女別学校の両方を選べる方がよい」「共学化すると、伝統の尊重や校風の維持ができなくなる」などがあった。

中高生に行ったアンケート結果
中高生に行ったアンケート結果

 また、男女共同参画の視点から県立高校のうち、男女別学の12校と、男女共学の11校を調査したところ、男女共学であっても、体育的行事などで男女で種目を変えていることや、男女共学、男女別学のいずれも、女子生徒の理系選択の割合が低かったりすることが浮き彫りとなった。理数科や外国語科、家政に関する学科は、男女共学校でも設置されているが、男女で入学できる学校数に差があり、保育科は女子校にしかないことや、女性管理職の割合の低さなども課題に挙げられた。

 これらを踏まえ、県教委では▽県立高校の学科の再編にあたっては、男女によって機会の差が出ないように留意する▽男女共同参画の視点に立った教育や共学化についての県の考え方を「魅力ある県立学校づくりの方針」に記載することを検討する▽県立高校全体で女性管理職を増やす▽男女別学の学校が共学化する際には、学校の歴史や伝統を尊重しつつ、社会の変化や生徒のニーズなどを踏まえて、学校が新しい歴史や伝統を創り上げていくことができるように、県教委が支援していく――などの対応策を示した。

 その上で、県立高校の共学化については、県教委として主体的に共学化を推進していくとした一方、男女共学・男女別学には多様なニーズがあるとして、アンケートや地域別の意見交換、有識者からの意見聴取などによって、県民の意見を丁寧に把握する必要があるとし、具体的な共学化の時期などは明記しなかった。

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