東京都は2025年開催の世界陸上(世界陸上競技選手権大会)に向け、会場となる国立競技場で小学4年生~中学生を対象としたワークショップを8月20日に開催し、世界陸上をテーマにしたディスカッションとスタジアム見学ツアーを実施した。参加した小中学生からは大会を盛り上げるためのアイデアなどが出され、34年ぶりに東京で開催される世界陸上への機運醸成をアピールした。
このイベントは、東京都が3つのテーマで児童生徒を対象に開催する「こどもワークショップ」の一つ。「東京2025世界陸上~大会を通じて、わたしたちが実現できること~」と題し、小中学生18人が参加。「みんなが笑顔になる大会をつくろう!」をコンセプトに、大会をより良くするアイデアや大会でやってみたいこと、大会を通じて自分たちができることを話し合うワークショップを開いた。国立競技場内のインタビューエリアやロッカールーム、フィールドを見学する「スタジアムツアー」には保護者も参加した。
2年ごとに開催され、世界のトップアスリートが競う世界陸上の日本開催は07年の大阪大会以来3度目で、東京では1991年以来となる。25年の東京大会は第20回の世界陸上で約210カ国・地域から約2000人の選手が出場する見込み。国立競技場をメイン会場に9月13~21日の9日間、49種目が実施される。
この日のワークショップには、ゲストアスリートとして陸上女子100メートル、200メートルの日本記録保持者で世界陸上4大会、五輪3大会に出場した福島千里さんが参加し、子どもたちの討議を見守った。グループ討議では「スポーツが苦手な人もいる。キャラクターを使って親しみが持てるようにしたい」「応援している気持ちを伝えるために自分たちで新聞を作り、周りの人に読んでもらい、選手にも渡したい」「サッカーワールドカップでは日本のサポーターのごみ拾いが評価された。世界陸上では世界中に人たちと一緒にやりたい」といったアイデアが出された。
福島さんは「子どもたちの意見は斬新で発想が面白い。素晴らしい機会でした」と振り返り、「世界陸上は世界一が決まる瞬間を共有する特別な体験ができる。パリ五輪で活躍した日本選手も成長し、もっと活躍しそう。ぜひ会場に足を運んでほしい」とアピール。参加者からは「自分の考えを出し、他の人の意見を聴ける貴重な体験だった」(小5女子児童)、「世界陸上にはいろいろな人が関わっていることを知った」(中2男子生徒)といった声が上がった。