いじめ・自殺対策など強化 こども家庭庁概算要求

いじめ・自殺対策など強化 こども家庭庁概算要求
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 こども家庭庁は8月27日、2025年度予算案の概算要求を公表した。一般会計と25年度創設の子ども・子育て支援特別会計を合わせた概算要求額は6兆4600億円で、24年度予算額より2394億円増額となる。23年12月に閣議決定された「子ども・子育て支援加速化プラン」に盛り込まれた事業を本格的に実行するための予算を要求するほか、子どもの自殺対策や不登校対策、子どもの安全対策などの重要課題にも対応する。

 一般会計4兆2189億円は24年度予算比で732億円増。子ども・子育て支援特別会計は一般会計からの繰り入れを除き2兆2410億円で同1661億円増。このうち、育児休業等給付関係要求額は1兆645億円で、厚労省予算として計上された24年度から1271億円の増額となる。

 25年度予算は、①こども・若者世代の視点に立った政策推進とDXの強化②若い世代のライフデザインの可能性の最大化と社会全体の意識改革等③より良い子育て環境の提供④すべてのこどもの健やかな成長の保障――を4本柱として、▽若者を主体とした団体の活動促進▽民間企業と連携したライフデザイン支援▽入院中の子どもに付き添う家族のための環境改善――などの新規事業を盛り込んだ。

 教員や保育士など子どもに接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する「日本版DBS」の創設を含む、「こども性暴力防止法」の施行準備には22億円を計上。法施行期限の26年12月26日に向けて、25年度は同法関連システムの開発を進める一方、情報適正管理措置、犯罪事実の確認、認定の手続きフローを検討し、各種ガイドライン、マニュアル、研修教材などの作成、制度の周知を進めていく。

 いじめ・不登校、子どもの自殺対策関係では24年度当初予算7000万円を大きく上回る7億5000万円を計上。不登校対策では切れ目ない支援を新規事業として掲げるほか、いじめ防止事業の拡充では、自治体の首長部局で専門家を活用して、いじめの相談から解消まで関与する手法の開発、実証を進め、「いじめ調査アドバイザー」による自治体への調査委員の人選、調査方法への助言、重大事態調査の第三者委員となりうる専門家への研修会を実施する。

 また、「こども政策DX推進」を掲げ、支援が必要な人に支援策に関する情報が届けられていない状況を改善するためのシステム整備を進めるほか、DX推進を通じて現場負担の軽減も図る。DX推進に関連した新規事業では、待機児童対策や利便性向上、業務負担軽減を図る実証事業を創設する「放課後児童クラブDXの推進」や、障害児支援事業所でのICT導入を支援する「障害児支援分野におけるICT化の推進」などがある。

 予算編成の手法としては、新たにEBPM(証拠・エビデンスに基づく政策立案)を導入し、データに基づく政策の質・効果の向上を図る。課題をデータとして示し、その解決、改善のために事業を進める手法だ。例えば、母子家庭等対策総合支援事業(概算要求額197億円)では、21年度調査で平均年収が母子家庭236万円、父子家庭496万円というデータに基づいて支援策を組み立て、28年度には少なくとも10%増とする目標を明示して事業を進めていくとしている。

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