教職調整額の13%引き上げ実現へ 文科省がパッケージ

教職調整額の13%引き上げ実現へ 文科省がパッケージ
教師を取り巻く環境整備推進本部の初会合に出席した盛山文科相(中央)=撮影:藤井孝良
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 教師の処遇改善や働き方改革の加速化などを求めた中教審答申を受け、文部科学省は8月29日、盛山正仁文科相が本部長を務める「教師を取り巻く環境整備推進本部」の初会合を開き、「教師を取り巻く環境整備推進パッケージ」を取りまとめた。文科省は同日に公表した来年度予算案の概算要求で、給特法で定められている教職調整額を月額給与の4%から13%に引き上げ、これまで人材確保法によって最も高かった優遇措置を超える処遇改善の実現を目指す。

 8月27日に中教審が答申した「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」では、学校における働き方改革のさらなる加速化と学校の指導・運営体制の充実、教師の処遇改善を一体的・総合的に推進することが必要だとし、学校・教師が担う業務の適正化を進めるなどして、全ての教師の時間外在校等時間が月45時間以内となることを目標に掲げている。

 取りまとめられたパッケージでは、答申の内容を踏まえ、来年度予算案の概算要求に盛り込んだ教職員定数の改善や教師の処遇改善策、働き方改革の実効性を向上させるため、在校等時間の縮減状況の可視化や校務DXの推進などをうたった。

 文科省の来年度予算案の概算要求では、答申で盛り込まれた教師の処遇改善策を実現するため、給特法を改正し、教職調整額を月額給与の4%から13%に改善する。これにより、人材確保法が制定されて以降、一般公務員と比べて最も優遇措置が大きかった1980年時点での7.4%を上回る7.8%の優遇となる。この教職調整額の引き上げによって、義務教育費国庫負担金の追加額は1080億円程度になると見込まれる。

 教職調整額の改善と合わせ、管理職の本給の改善も図られる。

 また、学級担任や管理職の職務の重要性や負荷を踏まえ、義務教育等教員特別手当に学級担任への加算として月額3000円を、管理職手当についても、支給水準を改善し、月額で5000~1万円の増となるようにする。これらは、都道府県などの給与条例の改正手続きに一定期間を要することから、2026年1~3月の3カ月分の予算を計上している。

 さらに、26年度からは学校横断的な取り組みについて、学校内外との連携・調整や若手教師へのサポートを主に担う新たな職を創設。教諭と主幹教諭の間に新たな級を設け、教諭よりも月額6000円程度高い処遇とすることも予定している。

 教職員定数の改善では、▽小学校の教科担任制の拡充 2160人▽全中学校への生徒指導担当教師の配置 1380人▽多様化・複雑化する課題への対応 476人▽35人学級の推進など義務標準法の改正に伴う定数増 3637人――などを進める(=図)が、特に答申の内容を反映した小学校中学年の教科担任制や新規採用教員の持ち授業時数軽減のための教科担任制、全中学校への生徒指導担当教師の配置は、今後4年間で計画的に改善を図っていくこととしており、2028年度までに小学校中学年の教科担任制で7000人、新規採用教員の持ち授業時数軽減のための教科担任制で1640人、全中学校への生徒指導担当教師の配置で7500人の加配を見込む。

 盛山文科相は推進本部の初会合で文科省幹部らを前に「われわれ文部科学省としては、中教審答申の内容を実現していくため、それぞれの部局が連携して、その政策を実行、実現していく必要がある」と、一丸となって教師を巡る環境整備に取り組んでいく必要性を強調。「時間外在校等時間を月45時間以内にするという目標に向けた働きやすい学校の環境整備、そして仕事や生活の満足度が高い職場環境を実現していく必要がある。そのために国、教育委員会、学校が一体となり、定量的な目標の設定、あるいは時間外在校等時間の縮減といったものについて、ガラス張りにしていく、見える化を図るということで、成果につなげていきたい」と述べた。

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