いじめ重大事態調査改訂でチェックリスト 全国に通知

いじめ重大事態調査改訂でチェックリスト 全国に通知
iStock.com/pingingz
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 いじめの重大事態が発生した際の適切な調査の進め方などをまとめたガイドラインが7年ぶりに改訂され、文部科学省は8月30日、全国の都道府県教育委員会などに通知した。今回の改訂では、新たに章として「平時からの備え」を加えるなどして分量が約4倍に増えたことから、同省は新たに基本的項目をまとめたチェックリストも作成し、改訂版とともに全国に通知した。

 いじめの重大事態の調査に関するガイドラインは、2013年にいじめ防止対策推進法が施行されたことを受けて17年に策定された。しかし、法の施行から10年を経て重大事態の発生件数が過去最多に上り、学校と教育委員会の連携不足で対応が遅れるケースが相次いでいることを踏まえ、改訂されることになった。

 改訂版では、第2章に重大事態発生を防ぐための「未然防止・平時からの備え」が新たに盛り込まれ、教職員など関係者が平時からガイドラインや生徒指導提要の理解を深めることや、学校のいじめ対策組織が実効的な役割を果たせるよう学校外との連携体制を作ることを求めている。

 また、第三者が調査すべきケースとして、自殺事案や児童生徒の間で主張が異なる事案など中立性・公平性を確保する必要性が高いケースなどを具体的に示すととともに、第三者とはどういう立場の者を示すかなど考え方を整理して記述した。

 さらに児童生徒や保護者への事前説明については、いじめ重大事態が発生したと判断したときと、調査組織が整った後の2段階に分けて行うことが望ましいとするなど、手順や説明事項を細かく記載している。

 同省は、ガイドライン改訂版が現行の約4倍の60ページ以上に及んだことから、新たにチェックリストも作成した。平時からの備えから初動対応、対象児童・保護者への事前説明事項など約150項目がリストアップされ、それぞれ参照となるページも記載している。同省は「基本的な項目をまとめたものであり、実際の対応にあたっては、法や基本方針、ガイドラインをよく確認して対応してほしい」としている。

 同省は同ガイドライン改訂版とチェックリストを30日に全国の都道府県教委に通知した。同ガイドラインを巡っては、内容を議論してきた「いじめ防止対策協議会」で、自治体の子育て部門や医療機関との連携も必要だとして地方自治体への通知を求める意見もあったことから、こども家庭庁からも通知を出すことを検討している。

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