不登校対策へセンター設置促進と支援員配置へ 文科省

不登校対策へセンター設置促進と支援員配置へ 文科省
COCOLOプランの進捗状況などが報告された不登校対策推進本部=撮影:山田博史
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 文部科学省の不登校対策本部(本部長・盛山正仁文科相)の第4回会合が8月29日、同省で開かれ、昨年3月に公表した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLO プラン)」の進捗(しんちょく)状況などが報告された。この中で、不登校傾向のある児童生徒を支援する公立小中学校の校内教育支援センターの設置率が、全国平均で46.1%にとどまっている状況が示され、来年度に1600校への設置を促進するとともに、新たに支援員を3000校に配置できるよう必要な予算を概算要求に盛り込んで不登校対策を強化する方針が示された。

 同本部には、不登校対策に関連する同省部局やこども家庭庁の幹部らが出席。冒頭、盛山文科相が「COCLOプランの進捗状況を確認するとともに、不登校を生まない安心して学べる魅力ある学校づくりの推進に向けて、建設的な議論をしたい」とあいさつした。

 続いてCOCOLOプランの進捗状況が報告され、学校に行きづらい児童生徒が校内で自分のペースで学習できる校内教育支援センターの全国の設置状況が初めて示された。資料によると、公立小中学校での設置率は全国平均で46.1%(今年7月現在)にとどまっているのに加えて、さいたま市や川崎市が100%に達しているのに対し、10%に満たない県もあるなど設置状況に大きなばらつきがあることが判明した。

 こうした状況を踏まえて、同省は概算要求に「校内教育支援センターの設置促進・機能強化事業」として14億円を計上しており、新たなに校内教育支援センターを設置する学校に対して、来年度は1600校を対象に必要な経費を支援する方針。また、同センターで日常的に児童生徒への学習支援や相談支援を行う「校内教育支援センター支援員」を新たに3000校に配置して、機能の強化を目指す。

 さらに各地域の教育委員会が開設して児童生徒の個別学習などをサポートしている、教育支援センターの機能強化にも乗り出す。家から出て同センターに通えない児童生徒を家庭訪問して支援する支援員の配置に必要な経費を補助する「アウトリーチ支援体制の強化」を進めるほか、保護者を対象とした相談支援や学習会を開くなど、保護者支援体制を強化する取り組みも補助する。この事業はこれまでも進めてきたが、来年度は事業実施主体を都道府県・政令市から市区町村にまで広げ、それぞれ350カ所を対象に大幅に拡充する方針。

 会議では、こうした不登校対策の進捗状況や概算要求に関連した取り組みが説明された上で、今後の方向性として、不登校の増加を抑えている自治体の好事例の横展開や、不登校要因調査を踏まえた対応、不登校児童生徒の学びの場・居場所の確保などを推進していく方針が説明され、共有された。

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