いじめへの早期対応支援 いじめ対策マイスター制度創設へ

いじめへの早期対応支援 いじめ対策マイスター制度創設へ
iStock.com/ruizluquepaz
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 いじめの重大事態件数が過去最多となる中、文部科学省は9月6日までに、教育委員会に警察OBや保護司などによる「いじめ対策マイスター」を設置して、学校でのいじめ事案への早期対応や再発防止を支援する制度づくりに乗り出すことを決めた。来年度は都道府県教委と市区町村教委で合わせて全国20カ所での設置を目指し、成果を見ながら他の地域にも広げていきたいとしている。

 昨年1年間のいじめの重大事態件数は923件に上り、過去最多となっている。この中では犯罪行為として扱われるべき事案など、学校だけでの対応が難しいケースが増えているほか、学校外やネットでのいじめが原因となるケースなど、学校だけで再発防止策を立てることが困難な状況も生まれている。

 こうした状況を踏まえ、同省は来年度に都道府県教委や市区町村教委の下に「いじめ対策マイスター」を設置して、学校を早期にサポートする体制づくりを進めることを決めた。警察OBや保護司、NPO法人、大学教授、校長OBなど多職種の専門家によるチームをつくり、学校から教委に相談があった際に学校に派遣。いじめ事案への早期対応をはじめ、加害児童生徒への指導・支援や重大事態調査後の学校の組織体制整備などを支援する。また、重大事態調査で示された再発防止策を踏まえて、同じ地域内の学校での再発防止体制整備の援助・相談にもあたる。

 同省は来年度予算の概算要求に1億6000万円を盛り込み、来年度は都道府県教委5カ所と市区町村教委15カ所の計20カ所での設置を目指すことにしている。成果を見ながら、他の教委への拡大を検討する。

 同省児童生徒課は、いじめ対策マイスター制度の創設で、学校だけでは対応できない事案に早期に対応するとともに、学校の再発防止に伴走する体制をつくることで、いじめの重大事態発生件数の減少にもつなげたいとしている。

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