放課後児童クラブ運営指針など改正へ こどもの居場所部会で議論

放課後児童クラブ運営指針など改正へ こどもの居場所部会で議論
「こどもの居場所づくりに関する指針」などについて審議を進める「こどもの居場所部会」=撮影:水野拓昌
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 こども家庭審議会の「こどもの居場所部会」は9月17日、第15回会合が開かれ、児童館ガイドラインと放課後児童クラブ運営指針の改正案が提示された。両改正案はこの日の議論を踏まえて修正された後、来年4月から適用される。2023年に閣議決定された「こどもの居場所づくりに関する指針」を踏まえ、両改正案では子どもの権利に関する記述を拡充している。

 児童館ガイドラインと放課後児童クラブ運営指針の改正案は、3月から検討を重ねてきた専門委員会の大竹智委員長(立正大社会福祉学部教授)から報告された。専門委員会は学識経験者や自治体職員、児童館などの関係者、保護者ら7人の委員で構成され、改正案作成に向けてアンケートによる児童生徒の意見聴取とフィードバックを経て、浮かび上がった課題などを討議。両改正案では「こどもの居場所づくりに関する指針」やこども基本法、こども大綱などを踏まえて、子どもの権利に関する記述を充実させたことが大きなポイントという。

 具体的には、①子ども自身が権利の主体であることを実感できるよう、保護者、地域住民も含めて伝えていける機会づくり②児童館、放課後児童クラブの職員が自ら子どもの権利について学ぶことを求める③運営主体に子どもの権利に関する学習や職員の学習機会が保障されること④子どもの意見形成、意見聴取、意見反映への支援⑤子どもの権利侵害が発生した場合の対処法を定め、子どもに周知する――といった内容が記載されている。

 このほか、性被害防止のための取り組みや、社会的・文化的困難を抱える子どもへのインクルージョン(包容・参加)の観点からの配慮、第三者評価の実施と結果公表についても触れられている。

 また、児童館ガイドラインについては遊びとソーシャルワークの関係性を明文化し、災害時の役割、居場所づくりへの対応について記載。放課後児童クラブ運営指針については最近の状況を踏まえて、おやつの提供、ICT(情報通信技術)活用など具体的な点も議論したという。こども家庭庁ではいずれも24年度内に関係機関に発出して周知し、25年度からの適用を目指す。

 部会の委員からは、実効力あるものにするため、現場スタッフへの研修を拡充していく必要性が強調されたほか、スタッフの専門性が求められることから処遇改善への課題も指摘された。

 このほか、同部会では「こどもの居場所づくりに関する指針」の解説書案について議論された。この解説書は、主に居場所に関わる関係者、地方自治体の担当職員に向け、先進事例を紹介したり、実践を進めるにあたって有効な情報を提供したりするために作成される。この日示された解説書案には「現場で活用すべき関係者に一度見てもらい、使いやすいものかどうか声を聴いた上で検討が必要」という委員の指摘もあり、こども家庭庁は現場の声の反映していくことを検討しているという。

 同部会は23年11月に「こどもの居場所づくりに関する指針」の答申案を取りまとめ、こども家庭審議会の答申を経て、政府が12月に指針を閣議決定している。こども家庭庁を中心に関連施策を進めており、指針は5年をめどに見直しを図っていく。

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