22年度の児童虐待対応件数の確定値公表 過去最多は変わらず

22年度の児童虐待対応件数の確定値公表 過去最多は変わらず
iStock.com/Motortion
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 厚労省は9月24日、2022年度に全国の児童相談所で児童虐待の相談を受けて対応した件数について、一部自治体で記載ミスがあったことを踏まえて修正した確定値を公表した。相談対応件数は全国で21万4843件となり、昨年9月に公表した速報値より4000件余り減っているが、過去最多を更新していることや全体の傾向は大きく変わっていない。

 新たに公表された確定値によると、22年度の全国の児童虐待相談対応件数は21万4843件で、前年度に比べて7183件増加し、過去最多を更新した。虐待の類型別にみると、心理的虐待が12万8114件(全体の59.6%)と半数以上を占めて最も多く、次いで▽身体的虐待 4万9464件(同23.0%)▽ネグレクト 3万4872件(同16.2%)▽性的虐待 2393件(同1.1%)――となっており、全体的には心理的虐待が増える傾向がうかがえた。

 年齢別では、3歳が最も多く1万3849件に上り、次いで▽2歳 1万3566件▽4歳 1万3555件▽1歳 1万3281件――などと、低年齢で多くなっている。また、年齢が高くなるほど身体的虐待が増える傾向が見られ、13歳以上はいずれも児童虐待全体の30%以上を占めた。

 児童虐待の相談対応件数に関する記載ミスを巡っては、自治体からの報告の一部に誤りがあるとの報道を受けて、今年1月に同省とこども家庭庁が連携して全ての自治体にデータの精査を依頼し、修正作業を進めた。同庁によると、主に埼玉県、東京都、京都府で多くの記載ミスが見られ、理由については「記入要領が分かりにくかった」「記入要領を十分に確認せずに、今までの慣例で報告してしまった」ことなどが挙げられたという。こうした経緯を踏まえて同省と同庁は、23年度調査で同様のミスがないよう自治体への指示を徹底し、今年度中に調査結果を公表することにしている。

 加藤鮎子こども政策担当相は同日の閣議後会見で、「児童虐待相談対応件数は前年度から3%増加し、背景には核家族化の進行や地域関係の希薄化などで、孤立した状況の中で子育ての困難に向き合う世帯が多くなっていることに加え、社会の児童虐待に対する認識が高まって警察、学校、市町村などからの報告が増えていることが影響しているのではないか」と述べ、今後、全国の児童相談所での児童福祉司、児童心理司等の増員など相談対応体制の強化を図りたいとの意向を示した。

 また、自治体の記載ミスについては、「異なる数値が報告されていたことは問題であり、今後は適切な取り扱いがなされるよう改善すべき課題と認識している。引き続き、1月に厚労省と連名で通知した計上方法の解説書を参照の上、適切な計上を行っていただくよう周知徹底する」と述べた。

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