26年度以降の部活動「休日の地域移行を徹底」文化芸術WGで指摘

26年度以降の部活動「休日の地域移行を徹底」文化芸術WGで指摘
2回目の会合も初回に続き、文化庁とオンラインのハイブリッド形式で開催=撮影:徳住亜希
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 地域移行後の部活動と文化芸術活動の在り方について議論する「文化芸術ワーキンググループ(WG)」の2回目会合が9月26日、文化庁とオンラインのハイブリッド形式で開催された。先行自治体の取り組みが紹介されたほか、委員によるディスカッションでは推進期間後の2026年度以降について、「休日の移行を確実に完了させる期間とすべき」との意見が相次いだ。

 国は23年から25年の3年間を部活動の「改革推進期間」に定め、全国の公立中学校を中心に、休日の部活動の運営を地域の民間クラブに移す地域移行の取り組みを進めてきた。WGでは26年以降の方針について11月をめどに意見を集約し、来春にも取りまとめる方針だ。先行自治体では、指導者不足や移動手段の確保などのさまざまな課題を抱えながらも、試行錯誤を続けている。

 この日の会合では、行政主導で地域との連携・移行を模索する2つの自治体が報告。山口県長門市は25年度中の移行に向け取り組みを進めてきた。移行後は、市が起ち上げる地域クラブ「NAGATOスポーツカルチャークラブ」が運営を担う。

 同市部活動地域移行準備室の橋本篤室長は「移行後の受け皿となる民間クラブや人材の確保は、小規模自治体には難しい。そのため、いったんは市が担う地域クラブに移行させる。指導者の確保、安全面や運営経費など課題は多岐にわたるものの、小規模自治体だからこそ大胆な動きや改革が可能になった」と説明した。

 教育委員会が中心となり地域移行を進める自治体もある。香川県東かがわ市は、市内3校合同で部活動を行う「東かがわクラブ」を市教委内に新設した事例を報告した。

 同クラブの久武滋事務局長は「土日の部活動をこのクラブで担う。すでに男子バレーボール部は移行が完了しているが、今後も段階的に進めていく。指導者はほとんどが学校の教員。同規模の自治体を視察したり、保護者や市民に情報発信をしたり、試行錯誤しながら取り組んでいる」と述べた。

 また11月をめどにした中間取りまとめに向け、北山敦康主査(静岡大学名誉教授、NPO法人しずおか音楽文化支援協議会理事長)が「部活動改革の理念」「平日における改革の在り方」などの議題を掲示。各委員が議論を交わした。

 部活動改革の理念については、18日に開かれた地域スポーツクラブ活動WGで「地域移行の名称は改革の理念を反映していない」として議論になった。それを踏まえ本会合でも、「ただ地域に委ねるというイメージが強い」「掛川市が使う『地域展開』『地域協働』あたりの言葉が伝わりやすいのでは」といった声が上がった。

 平日の地域移行に関しては、放課後である夕方に参加可能な指導者の確保が課題になっているという意見もあった。池上潤子委員(静岡県教育委員会義務教育課指導監)は「指導者の都合で夜7時以降のスタートになったり、移動に時間がかかり十分な練習時間が取れなかったりという報告もある」と指摘した。

 改革推進期間を終えたあと、26年以降の改革期間の在り方についてもディスカッションが行われた。複数の委員が「進捗(しんちょく)の把握はもちろん、実質的な成果や教育効果の検証が欠かせない」と強調したほか、「確実に休日の移行を完成させるロードマップが必要」(戸ノ下達也委員〈一般社団法人全日本合唱連盟理事、都留文科大学・明星大学非常勤講師〉)として、まずは休日の移行を徹底させる期間にすべきとの声が相次いだ。

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