教育への仮想空間(メタバース)活用の可能性を広げようと、ベネッセコーポレーションは9月24日、大学入試の模擬試験をメタバース空間から受験できるサービスを開始すると発表した。10万人以上が受験する全国模試でメタバースを活用するのは初めての試みで、受験生は場所や時間を問わずに自宅などから個人で受験ができ、メタバース空間で同じ模試を受けた仲間と交流することもできる。
メタバースを活用した模擬試験で受験できるのは、同社が実施している「進研模試」と同じ内容・科目で、個人単位で専用サイトから申し込む。インターネット環境があれば自宅や自習室などから、試験期間中にいつでも受験が可能で、科目ごとに時間帯を分けて受験することもできるので、受験生の負担軽減にもつながると期待される。模擬試験そのものはオンラインで行われ、マークシート式では試験終了後すぐに結果が出る。記述式も解答用紙を受験生が撮影し、アップロードすることで作業時間を効率化するなどし、1~2週間程度で結果を返却できるようにする。
受験生はまず、自らのアバターを作成し、自分だけが入れる「マイルーム」から、大学の講義室をイメージした試験会場でパソコンのある席に着くと、オンラインの試験が始まる。試験会場を出ると「コミュニケーションルーム」に移動して、同じ試験を受けた人同士で交流することもできる。
同社の戸賀瀬知佳子ビジネスイノベーション部部長は、少子化による学校の小規模化や受験方法の多様化で、ライバルや仲間を見つけにくくなっていることや、通信制高校に通っているなど、日常的に登校しない生徒のサポートなどを挙げ、「これらは社会課題だ。教育に関わる会社として、生徒が学ぶ場、集う場、いろいろな体験をする場という選択肢を増やしていく支援を本気で考え、提供したい」と意気込み、メタバースを活用した模擬試験に一定のニーズがあると強調した。同社では模擬試験での導入を皮切りに、他の教育サービスでもメタバースの活用を広げていくという。