エンジニアなどの情報技術に携わる女性を増やす活動に取り組んでいるグーグルは10月3日、中学校・高校の女子生徒が同社の女性エンジニアから情報科学の面白さやエンジニアの仕事の魅力を学ぶ「Mind the Gap 10周年プログラム」を、東京都渋谷区の本社で開いた。同社のサンダー・ピチャイCEOは「いろいろなことを経験して、『旅路』を楽しんでほしい」とエールを送った。
「Mind the Gap」は技術者に女性が少ないというジェンダーギャップをなくそうと、女子学生の進路選択の一助となるよう、同社の女性エンジニアによる講演やプログラミング体験、オフィス見学などができるプログラムで、日本では2014年から実施されている。
10周年を記念して開かれたこの日のイベントには、3校の中学校・高校から約40人の女子生徒が参加。同社で活躍する女性エンジニアらの話に熱心に耳を傾けた。
ソフトウエアエンジニアの栗本英理子さんは、高校生の頃はやりたいことが多く、進路を絞り込めなかったが、進学した大学の教養学部の授業で情報科学に惹かれ、「Mind the Gap」に参加したり、同社のインターンシップに挑戦したりして、エンジニアの仕事に対するイメージを具体的にしていったことを紹介した。
エンジニアに興味を持っている生徒に向けて栗本さんは「ちょっと講習を受けたらプログラミングができるかのような話も世の中にあふれているが、それはとても危険な考え方だ。コンピューターをしっかり知らずに作られたプロダクトというのは、セキュリティーに脆弱(ぜいじゃく)性があって問題を起こしたり、パフォーマンスが悪く効率を落としてしまったりと、クオリティーの低いものとなってしまう恐れがある」と指摘。
その上で「エンジニアは寿命が短い仕事だと言われることもあるが、それは技術しか学んでいないからだ。技術は日々更新されていくので、今勉強していることが使えなくなることはしばしばある。しかし、その裏にある理論はなかなか覆ることはない。新しい理論が追加されることはあっても、一度学んだ理論は一生の財産になる。理論さえ知っていれば、新たな技術を学ぶのは簡単なことだ」と、情報科学を理論からしっかり習得する大切さを強調した。
イベントには特別ゲストとして同社のピチャイCEOも登壇。自分の考えを製品という形にし、世界中の人々に影響を与える同社の仕事のやりがいを語った。生徒から「10代のうちに経験しておくべきことは?」と尋ねられると、「将来何になるかを決めている人もいれば、そうじゃない人もいるだろう。でも、あまりプレッシャーを感じずに、そしていろいろなことを経験して、『旅路』を楽しんでほしい」とアドバイスした。